[III-P01-1-10] Investigation of Electrocardiographic Changes Influenced by Medications for Attention Deficit/Hyperactivity Disorder and Autism Spectrum Disorder
Keywords:注意欠如/多動性障害, 自閉スペクトラム症, 副作用
注意欠如/多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する薬物治療は近年増加しているが、心血管系の安全性については懸念がある。目的:ADHD、ASD治療薬が及ぼす心電図変化について明らかにする。方法:2013~2023年の期間に当科でADHD、ASD治療薬のアトモキセチン、グアンファシン、アリピプラゾール、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミンを処方された患者471名のうち、投薬前後で心電図変化を評価できた患者40名で、投薬前後の心電図におけるRR間隔、QT時間、Bazett補正QT時間(QTcB)、Friderichia補正QT時間(QTcF)、PR時間、QRS幅を測定し、後方視的に統計学的検討を行った。結果:RR間隔は投与前733.8±174.6msec、投与後750.6±177.7msec(P=0.359)、QT時間は投与前327.7±36.2msec、投与後335.8±28.0msec(P=0.097)、QTcBは投与前350±2.7msec、投与後357±2.2msec(P=0.071)、QTcFは投与前366±2.3msec、投与後373±2.2msec(P=0.082)、PR時間は投与前155.8±20.8msec、投与後162.7±22.5msec(P=0.011)、QRS幅は投与前68.7±8.9msec、投与後71.3±9.8msec(P=0.017)であった。投薬後、新たに生じた不整脈はなかった。考察:PR時間とQRS幅で統計学的有意差を認めたが、正常範囲内の変化であった。成長に伴う変化の可能性も考えられた。本検討ではなかったが、元々QT延長や房室ブロックを呈する患者は投薬後の心電図変化に注意が必要である。結語:全ての測定項目で投薬後に延長していたが、病的ではなかった。今後は症例数を蓄積し、さらに詳細な検討をすべきである。