[III-P01-5-04] Evaluation of cardiac function in a rat model of drug-induced myocardial damage
Keywords:ラット, 薬剤性心筋障害, アドリアマイシン
【背景】ドイツのSchranzらは、特発性拡張型心筋症の小児患者に対する肺動脈絞扼術の有効性を報告したが、その作用機序は明らかでない。大型動物実験による検証が行われたが、まだ全貌は解明されていない。【目的】小型動物での実験系を完成する。拡張型心筋症に近いモデルとして、ラットへのアドリアマイシン投与による心不全モデルを作製し、その心機能を評価する。【方法】4週齢のSprague-Dawleyラット12頭のうち、6頭にアドリアマイシン15 mg/kgを2週間で腹腔内投与し(2.5 mg/kg×6回)(A群)、コントロールとして6頭に生理食塩水を投与した(C群)。投与終了時、2週後、4週後に心臓超音波を施行し、4週後に左心カテーテル検査で心室圧容積関係を求めた。2群間で心機能を比較した。【結果】A群の1頭はアドリアマイシン5回投与後に死亡した。体重はA群、C群で投与開始前102±6、98±7g(p= 0.36)であったが、投与終了4週後では222±9、266±14g(p<0.01)であった。 心臓超音波では投与終了4週後の%FSは51±2、61±9(p= 0.03)で、E/A比は1.5±0.09、1.8±0.1(p= 0.002)であった。心臓カテーテルでは左室拡張末期容積は175±21、163±38μl(p= 0.57)、effective arterial elastance (Ea)は2.3±0.7、1.5±0.4 mmHg/μl (p= 0.05)、end-systolic elastance (Ees)は0.98±0.14、1.4±0.4mmHg/μl (p= 0.04)、Tauは11±1、10±2 ms (p= 0.38)であった。【考察】C群と比しA群では、前負荷と拡張性に差はなかったが、後負荷は上昇し収縮性は低下した。【結論】ラットにおけるアドリアマイシンによる心筋障害モデルは、収縮性の低下と後負荷の上昇を認めた。