[III-P01-5-03] Infective endocarditis due to invasive pneumococcal infection requiring mitral valvuloplasty
Keywords:感染性心内膜炎, 侵襲性肺炎球菌感染症, 僧帽弁形成術
【背景】感染性心内膜炎(IE) における原因菌の上位3菌種は、緑色連鎖球菌、ブドウ球菌、腸球菌であり、肺炎球菌が原因となることはまれである。本邦では平成25年より小児に対する肺炎球菌ワクチンとしてPCV13が承認されているが、今回はPCV13に含まれていない侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)22FによるIEのため僧帽弁形成術をせざるを得なかった症例を報告する。 【症例】既往のない2歳男児。発熱、咽頭痛のため近医を受診し対症薬で様子をみていたが解熱せず、第4病日に前医受診し活気乏しく入院した。第5病日に意識障害と右上下肢の麻痺を認めた。血液検査で炎症反応高値、髄液細胞数上昇、髄液迅速検査で肺炎球菌陽性から細菌性髄膜炎と診断し、CTX+MEPM+DAPで抗菌薬治療を開始した。血液培養と髄液培養から肺炎球菌22Fが検出された。頭部MRIにて多発性脳梗塞像あり、心エコーにて僧帽弁前尖に可動性のある疣贅を認め、僧帽弁閉鎖不全症(MR)はmoderateであった。IPDによるIEとして全身管理のため当院転院となった。抗菌薬をCTX+VCMに変更し、多発性脳梗塞をきたしていたため第6病日に僧帽弁形成術を施行したが、術後MRが増悪し心原性肺水腫も併発したため第22病日に僧帽弁形成術を再試行した。術後、MRはtrivialまで改善し、感染症、心不全のコントロールは良好となり第54病日に退院した。右動眼神経麻痺が残存したが、その他の成長発達は概ね年齢相応である。 【考察】本症例は、咽頭発赤と軽度の右中耳炎を認めるのみで侵入経路ははっきりしなかった。PCV13に含まれる血清型によるIPDは減少しているが、含まれない血清型によるものは減少していない。従来のPCV13に22Fと33Fを追加したPCV15が、令和5年に小児に使用できるようになった。基礎疾患のない児でもIEを含めたIPDを発症してしまうリスクがあり積極的な予防接種の投与が必要であると考えられる。