The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Poster Session

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Poster Session(III-P02-2)

Sat. Jul 13, 2024 10:00 AM - 11:00 AM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:武内 崇(海南医療センター 小児科)

[III-P02-2-01] An infant of Pulmonary Hypertension with TBX4 mutation who had a significant respose to Subcutaneous injection of Treprostinil

山下 尚人, 入佐 浩史, 井福 俊允 (宮崎県立宮崎病院 小児科)

Keywords:肺高血圧症, 動脈管開存症, トレプロスチニル皮下注

【緒言】肺高血圧(PH)の原因遺伝子としてTBX4が報告されているが、本邦での報告は少ない。間質性肺疾患、進行性のPHを呈したTBX4異常を伴う幼児にトレプロスチニル皮下注を導入したので経過を報告する。【症例】3歳女児。出生後の緊張性気胸、新生児遷延性肺高血圧(PPHN)に対し胸腔ドレナージ・人工呼吸器・NO吸入で改善し抜管した。その後も低酸素血症を認め、胸部CTで間質性肺疾患と診断し、ステロイドおよびハイドロキシクロロキンを導入した。以降は増悪なく経過した。PHはPPHNから一旦改善したが、月齢2から徐々に進行し、シルデナフィル、ボセンタン、セレキシパグを順次導入した。一時的な改善を認めたが、2歳時に平均肺動脈圧(mPAP、mmHg)=55、肺血管抵抗(RpI、wood unit・m2)=9.9と増悪を認め、ボセンタンからマシテンタン、セレキシパグからトレプロスチニル皮下注(35ng/kg/分)へ変更した。変更後2か月で、mPAP=35、RpI=4.76、Qp/Qs=1.2と著明に改善したが、径1-3mmであった動脈管が6-8mm大に拡大を認めた。変更7か月後で、mPAP=55、RpI=3.76、Qp/Qs=1.7と高肺血流によるPHの再増悪を認めたため、動脈管に対してカテーテル治療(AVP-2 8mm)を行った。動脈管閉鎖後はmPAP=37と改善を認めた。【考察】幼児に対するトレプロスチニル皮下注は家族による頻回な差し替えや皮下血種・疼痛、ポンプ閉塞等の局所トラブルはあるが、重篤な有害事象はなく忍容性のある治療と考えられた。また本症例ではプロスタサイクリンによる動脈管拡張作用の可能性も示唆された。【結語】TBX4異常を伴うPH幼児例に対してトレプロスチニル皮下注が著効した。局所トラブルや家族負担への配慮は必要であるが、トレプロスチニル皮下注は治療選択の一つになりうる。