[III-P02-2-04] The risk factor of worsening postoperative pulmonary hypertension after biventricular repair: report from Japanese Association of CHD-PH Registry
Keywords:postoperative PH, レジストリ, 術後残存肺高血圧
【背景】昨年の本学術集会において、二心室修復術(ICR)後の残存肺高血圧症(術後PH)が経時的に増悪する患者群の存在をレジストリより報告したが、術後PHの増悪因子についてはまだ解明されていない。
【目的・方法】2021年8月から2023年12月の間にレジストリに登録された術後PH患者80名のうち、ICR後に心臓カテーテル検査(CC)で肺高血圧症(PH)と診断され、その後フォローアップのCC(fCC)が行われた患者31名(男16名)を対象とした。31名を診断時CCとfCCの間で、肺血管抵抗(Rp)が増悪した群(W群:7名)と、Rpが不変ないし改善した群(I群:24名)に分け、術後PHの増悪因子について検討した。
【結果】W群はI群に比較して(W群 vs I群で表記)、PH診断から登録までの年数が長い(中央値7.4年 vs 5.2年、p = 0.03)、fCC時のRpと右房圧が高い(Rp中央値8.3 W.U・m2 vs 3.3 W.U・m2、p = 0.05、右房圧中央値10 mmHg vs 7 mmHg、p = 0.02)、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(PAVSD)の頻度が高い(28.6 % vs 0 %、p = 0.00)、姑息術実施例の頻度が高い(100 % vs 29.1 %、p<0.01)、という結果だった。また傾向の見られたものは、登録時年齢が高い(中央値18.4歳 vs 9.9歳、p = 0.08)、PH診断時のRpが低い(3.6 W.U・m2 vs 7.4 W.U・m2、p = 0.09)、心室中隔欠損の頻度が少ない(0 % vs 37.5 %、p = 0.054)、エンドセリン受容体拮抗薬の服用頻度が高い(85.7 % vs 50 %、p = 0.09)、プロスタサイクリン製剤の使用頻度が低い(0 % vs 20.8 %、p = 0.09)、という結果だった。
【考察・結論】姑息術を要した症例やPAVSDの症例では、術後PHが経時的に増悪する可能性が考えられた。一期的ICRが困難である全身状態や循環動態、およびPAVSD症例における先天的な肺動脈発育不全が、術後PH増悪と関係する可能性があると推察した。今後症例数やフォロー期間が延びることで、術後PHの増悪因子に関するさらなる解明が期待される。
【目的・方法】2021年8月から2023年12月の間にレジストリに登録された術後PH患者80名のうち、ICR後に心臓カテーテル検査(CC)で肺高血圧症(PH)と診断され、その後フォローアップのCC(fCC)が行われた患者31名(男16名)を対象とした。31名を診断時CCとfCCの間で、肺血管抵抗(Rp)が増悪した群(W群:7名)と、Rpが不変ないし改善した群(I群:24名)に分け、術後PHの増悪因子について検討した。
【結果】W群はI群に比較して(W群 vs I群で表記)、PH診断から登録までの年数が長い(中央値7.4年 vs 5.2年、p = 0.03)、fCC時のRpと右房圧が高い(Rp中央値8.3 W.U・m2 vs 3.3 W.U・m2、p = 0.05、右房圧中央値10 mmHg vs 7 mmHg、p = 0.02)、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(PAVSD)の頻度が高い(28.6 % vs 0 %、p = 0.00)、姑息術実施例の頻度が高い(100 % vs 29.1 %、p<0.01)、という結果だった。また傾向の見られたものは、登録時年齢が高い(中央値18.4歳 vs 9.9歳、p = 0.08)、PH診断時のRpが低い(3.6 W.U・m2 vs 7.4 W.U・m2、p = 0.09)、心室中隔欠損の頻度が少ない(0 % vs 37.5 %、p = 0.054)、エンドセリン受容体拮抗薬の服用頻度が高い(85.7 % vs 50 %、p = 0.09)、プロスタサイクリン製剤の使用頻度が低い(0 % vs 20.8 %、p = 0.09)、という結果だった。
【考察・結論】姑息術を要した症例やPAVSDの症例では、術後PHが経時的に増悪する可能性が考えられた。一期的ICRが困難である全身状態や循環動態、およびPAVSD症例における先天的な肺動脈発育不全が、術後PH増悪と関係する可能性があると推察した。今後症例数やフォロー期間が延びることで、術後PHの増悪因子に関するさらなる解明が期待される。