[III-P02-5-01] A case of permanent pacemaker transplantation for cardiac arrest accompanying autonomic nervous crisis
Keywords:paroxysmal extreme pain disorder, 自律神経クリーゼ, ペースメーカー
【はじめに】Paroxysmal extreme pain disorder(PEPD)はNaチャネルのSCN9A遺伝子変異により、食事や排泄などを契機に全身に発作性の疼痛が起こり、徐脈・頻脈・失神・発汗・ハーレクインなど自律神経クリーゼが起きる非常に稀な疾患である。今回PEPDに伴う自律神経クリーゼによる心停止に対して恒久ペースメーカー(PM)留置術を施行した症例を経験したので、症例経過を含めて報告する。【症例】女児。出生後、無呼吸発作、痙攣、房室ブロックを伴う徐脈があり、日齢2:当院NICU搬送入院。以降原因不明の自律神経クリーゼによる頻脈及び徐脈を繰り返し、発作増悪に伴い心停止となるエピソードがあり、1y6m:胸骨正中切開下に恒久PM留置(DDD)施行。術後18d:発熱、創部から排膿出現。創部培養:MRSA(+)。CT上縦隔洞炎は否定出来なかったが、炎症範囲は限局的で、自律神経クリーゼのコントロール不良だったことから、抗生剤投与及び局所陰圧閉鎖療法による保存的治療を行った。菌は速やかに陰性化したものの、創傷治癒は得られず。術後1m:局所麻酔下に閉創するも創部離開。抗生剤長期投与により菌交代を繰り返すため、抗生剤中止したところ感染再燃。再開胸を計画するも、麻痺性イレウスから小腸穿孔合併し、手術延期。術後4m:再開胸、恒久PM抜去及び一時PMリード留置施行。数日間の洗浄処置後に二期的閉胸。この際、恒久PMリードを心室のみ留置。術後8m(2y2m):上腹部切開を追加し、恒久PM再留置(VVI)施行。4y:自律神経クリーゼが抗てんかん薬の内服調整により概ねコントロール良好となり退院。現在再留置術後6年半が経過、感染の再燃なく、PMはバックアップのみで使用履歴なく経過。当初自律神経クリーゼの原因は不明だったが、遺伝子検査により、1y8m:PEPD(SCN9A変異)と確定した。【まとめ】非常に稀な疾患に対する恒久PM留置術を経験した。感染を合併し治療に難渋したが、恒久PM留置術を施行することで救命し得た。