[III-P02-5-05] 地方low-volume centerにおける外科緊急症例の検討- 集約化は「関連病院の外科医」に何を求めるか?
キーワード:外科手術, 施設集約化, 心肺蘇生
【背景】当院は人口80万人、出生数7000/年の山梨県を医療圏とし、小児循環器への緊急をふくむ外科介入を行いうる唯一の医療機関である。近年では施設連携により、重症例は他院搬送とする方針となっているが、補助循環(ECMO)導入など緊急の外科対応を要する症例は依然として存在する。【目的】地方low volume centerである当院の緊急外科介入を要した症例につき検討し、集約化に伴う問題点につき考察する。【対象】2013~2023年の小児循環器症例を当院手術データベースより抽出した。救急外来やカテ室などをふくめ、ECMO導入や感染へのドレナージ処置も含まれている。緊急手術の定義は「小児循環器チームによる手術決定後、ただちに行われた症例」としたが、ECMO導入中の止血術や非感染創処置は除いた。【結果】上記期間中の外科手技は507例。緊急は22回、21症例で、ECMO導入9例、肺静脈閉塞(PVO)6例、縦隔炎2例、特発性心嚢液貯留1例、止血術や残存病変に対する再介入4例であった。術前心肺蘇生例9(院外心肺停止5例)、死亡6例(院外心肺停止のうち4例、PVO2例)。重症例の施設間搬送が増えた2018年以降は、このうち7例で、内訳はECMO5例(院外心肺停止2;劇症型心筋炎、他院でNorwood術後の誤嚥・低酸素。院内心肺停止2;感染性心内膜炎による肺動脈破裂、low pulmonary flow単心室症例の麻酔導入時低酸素。非心肺停止例;特発性僧帽弁腱索断裂に伴うショック)、乳児三心房心によるPVO、特発性心嚢液貯留に伴うタンポナーデ各1例。院外心肺停止の2例が死亡例であった。【考察】他院連携により減少傾向にはあるが、外科緊急症例は一定数存在する。院内緊急は「いかに重症化を察知し、高次施設へ連携できるか」「このための連絡・情報共有」が肝要となる。それでも心肺停止や術後合併症への対応などは残りうる。この対応のためのトレーニングや、誰が対応するか、などは今後も課題である。