[III-P02-5-09] Four cases of surgical repair of unilateral absence of a pulmonary artery
Keywords:一側肺動脈欠損症, unilateral absence of a pulmonary artery, 肺動脈再建
【背景】先天性一側肺動脈欠損症は,一側の肺動脈が主肺動脈から起始し他側が主肺動脈との連続性がなく動脈管と連続している先天奇形であり、生後早期に心不全,呼吸不全を呈し、介入を要する。【目的】当院で手術を行なった先天性一側肺動脈欠損症症例に関して、既存の報告と比較し報告する。【方法】当院で手術を行なった一側肺動脈欠損症についてretrospectiveに調べた。【結果】2012年から2023年の間に当院で手術を行った一側肺動脈欠損症は4例であった。右肺動脈欠損2例、左肺動脈欠損2例であった。孤立性片側肺動脈欠損2例、大動脈縮窄症合併1例、ファロー四徴症合併1例であった。手術介入時期は新生児期が2例、日齢36が1例、月齢5が1例。全例自己組織のみで再建可能であった。主肺動脈の前壁をフラップ状にして後壁を形成し前壁を自己心膜でカバーして再建した症例が3例、主肺動脈と肺動脈を直接吻合しBTシャントを併施した症例が1例であった。右肺動脈欠損の1例で術後16ヶ月時と術後6年2ヶ月時にカテーテルインターベンションを要した。左肺動脈欠損1例でファロー四徴症根治術時に肺動脈再建を行った。平均観察期間は52カ月であり、死亡例はなく、全例で再建した肺動脈は開存している。【考察】一側肺動脈欠損症は欠損部分が長いことが多く、再建に工夫を要する。自己心膜ロールや人工物を用いた再建法もあるが、新生児期での手術が必要なことが多く、当院では極力、自己の肺動脈組織の連続性を保つように心がけている。右肺動脈再建症例は、上行大動脈の腹側で再建せざるを得ないことが多く、遠隔期の狭窄が懸念される。【結論】当院で経験した4例の一側肺動脈欠損症に対し、全例で自己の肺動脈組織の連続性を保ったままでの再建が可能であった。主肺動脈壁フラップを用いての肺動脈再建は有用である。