[III-P03-1-07] 現行のマスター負荷では十分な心拍数上昇が得られない
キーワード:マスター負荷試験, 学校心臓検診, 心室期外収縮
【背景】心疾患児の運動管理を行う上で運動負荷心電図は重要である。一般に学童は運動量が多いため、十分な運動負荷をかけての評価が望ましく、具体的には最大心拍数を150/分以上にする。マスター負荷試験は簡便に出来る検査で学校心臓検診で広く用いられているが、高学年児では目標心拍数に達さない場合がある。【目的】負荷中も心電図記録したマスター負荷検査を行い、学童における運動負荷を管理する上での有用性と問題点を検討した。【方法】2000年から2023年まで帝京大学医学部附属病院で、Mason-Likar誘導で電極装着し12誘導心電図記録下でマスターダブル負荷を受けた児を対象とした。小学校1年(小1)、小学校4年(小4)、中学校1年(中1)、高校1年(高1)の4群に分け、負荷中及び負荷後の心拍数の推移と各群の最大心拍数および負荷終了後15秒、30秒の心拍数を検討した。【結果】1025人を対象とした。小1群が256人、小4群が300人、中1群が293人、高1群が176人であった。男子の割合は58.5%であった。川崎病が43%、心室期外収縮が15%であった。最大心拍数は小1群 172±14/min, 小4群160±14/min, 中1群143±16/min, 高1群133±18/minであった。負荷終了15秒および30秒後の心拍数は小1群 149±17/min, 126±21/min, 小4群138±17/min, 113±18/min, 中1群122±19/min, 101±19/min,高1群114±21/min, 95±19/minであった。【考察】最大心拍数は中1群、高1群では150/min未満であった。全ての群で負荷後心拍数は急激に低下し15秒以降は150/minを下回った。中1以上では既存の負荷量では不十分な可能性がある。また負荷後心拍数が急激に低下する学童に対して負荷中も記録を行う全記録マスター負荷は有用と考えられる。