The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Poster Session(III-P03-2)

Sat. Jul 13, 2024 11:00 AM - 12:00 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:土井 拓(どいキッズクリニック)

[III-P03-2-07] Pulmonary hypertension after mitral valve replacement in childhood

野村 知弘1, 浜道 裕二1, 松村 雄1, 小林 匠1, 齋藤 美香1, 吉敷 香菜子1, 上田 知実1, 矢崎 諭1, 和田 直樹2, 高橋 幸宏2, 嘉川 忠博1 (1.榊原記念病院 小児循環器科, 2.榊原記念病院 心臓血管外科)

Keywords:僧帽弁置換術, 肺高血圧症, 左室拡張末期圧

【背景】小児期に僧帽弁の人工弁置換術(MVR)を施行する例が存在する。人工弁径に適合した体格まで待機するが, 術後の肺高血圧(PH)の存在が問題となる。【目的】小児期のMVR後のPHについて検討した。【方法】対象は2011年~2023年に当院でMVR(手術年齢15歳以下)を施行し, 術前後に心臓カテーテル検査を行った13症例。僧帽弁狭窄(MS群)9例, 僧帽弁逆流(MR群)4例に分け, 平均肺動脈圧(mPAp), 肺動脈楔入圧(PCWP), 左室拡張末期圧(LVEDP)の3因子について検討した. 統計にはMann-Whitney U検定、Spearmanの順位相関係数を用いた。【結果】MVR施行時年齢は中央値7.0(最小3.5)歳。MVR後にmPAp≧20mmHgの肺高血圧が存在した例は、MS群7例(78%), MR群4例(100%)。MVR後の各因子の中央値(範囲)は、MS群でmPAp24 (15-55) mmHg、PCWP14(11-22) mmHg、LVEDP15(9 -30) mmHgと高値。MR群でも、それぞれ23 (20-36) mmHg、15(11-26) mmHg、13(10-13)と高値。予想に反して3因子は、MS群、MR群ともMVR前後で有意な変化はなかった。次に3因子間の相関係数をMVR後、MVR前で求めた。MVR後のMS群では、mPAP・PCWP間でγ=0.915(p=0.001)、mPAp・LVEDP間でγ=0.873(p=0.002)、PCWP・LVEDP間でγ=0.706(p=0.033)と高い相関係数を得た。MVR前のMS群では、3因子間に有意な相関はなかった。MR群では、MVR前、MVR後とも3因子間に有意な関係はなかった。MVR後の全体の内科治療は, βブロッカー7例, ACEI/ARB6例,肺血管拡張薬2例。これらの薬剤が投与されていないのは4例。【まとめ】小児期のMVR後には高率に肺高血圧が存在していた。MVR後のMS群では、肺血圧上昇の多くはPCWPの上昇で説明できた(γ二乗0.84)。しかしPCWP上昇がLVEDP上昇で説明できるのは約半数であった(γ二乗0.50)。MR群については、統計学的に有意な説明はできなかった。小児期のMVR後には、検査データを踏まえて肺高血圧に対して可能な治療を行った方が良い。