第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表(III-P03-4)
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2024年7月13日(土) 11:00 〜 12:00 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:北川 篤史(北里大学医学部小児科学)

[III-P03-4-07] 左側相同、下大静脈欠損を伴う単心室において、門脈体循環シャントの評価が重要である

真船 亮, 星野 健司, 築野 一馬, 橘高 恵美, 大森 紹玄, 増田 詩央, 百木 恒太, 河内 貞貴 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)

キーワード:肺動静脈瘻, 下大静脈欠損, 門脈体循環シャント

【はじめに】左側相同、奇静脈/半奇静脈結合を伴う下大静脈欠損の単心室症では、Total cavopulmonary shunt(TCPS)手術後に肺動静脈瘻(PAVF)を生じることが知られている。また先天性門脈体循環シャントでもPAVFを合併することがわかっている。今回、TCPS術後の患児が門脈体循環シャントを合併し、PAVFの改善が遅れた症例を経験したので報告する。【症例】症例は3歳の男児。胎児診断症例で、診断は左側相同、房室中隔欠損、両大血管右室起始、肺動脈狭窄、両側上大静脈、下大静脈欠損。生後1歳2か月でTCPS術を施行したが、TCPS後もチアノーゼが遷延した。心臓カテーテル検査では、平均肺動脈圧は11mmHg、TCPS吻合部の狭窄はなく、両側のPAVFを認めた。2歳時にHepatic conversionを行ったが、その後もチアノーゼが遷延し、精査にて門脈体循環シャントが指摘された。心臓カテーテル検査でフォンタン経路に狭窄はなく、チアノーゼの原因となる側副血行路を認めず、両側のPAVFを引き続き認めた。2歳9ヵ月時に門脈体循環シャント結紮を行ったところ、速やかにチアノーゼは改善した。【まとめ】下大静脈欠損を伴う心室症例におけるTCPS術後、門脈体循環シャントのいずれもPAVFの原因となり得る。非心疾患の症例だけでなく、TPCS術後にPAVFを認めた際にも、早期チアノーゼの改善のためにも門脈体循環シャントを鑑別に評価が大事である。