[III-P03-5-03] 中高校生の移行期支援とワークショップの効果
キーワード:移行期支援, 中高校生, ワークショップ
【背景】先天性心疾患(CHD)の子どもは、病気と共に成長し、様々な発達課題と向き合いながら大人になっていく。幼少の子どもには治療に際して決定権がほとんどないのが現状で、自分の疾患や治療に関して知る機会が少なく、高校生でも疾患に関する質問に答えられない場合が多い。そのため、子どもの自立・自律を促すことが重要で、各施設で子どもや親を対象とした自立・自律支援が実施されている。当院は、依然多くの成人CHD患者さんが小児科に受診し、移行支援を必要とする患者さんがたくさんいる一方で、当事者を対象としたピアサポートの機会は限られる。今回思春期CHD患者と保護者を対象に移行支援ワークショップを開催した。【目的】思春期CHD術後患者とその保護者を対象とした移行支援ワークショップの効果を検討すること。【方法】CHD術後の中高校生の男子3名とその保護者を対象に、4テーマ、2日間のワークショップを開催し、その前後でワークショップに関するアンケートを実施した。【結果】アンケート回収率は患者、保護者共に100%。子どもはワークショップの前後で、内服などの質問への回答に変化はなかったが、自分と同じ思いをしている仲間の存在を認識できたという感想があった。一方、保護者は、ワークショップ前後で「成人医療に移行するイメージ」に対する思いに変化が生じていた。「同じ悩みを抱えていた」「将来への不安」などが共通で記載されていた。【考察】普段同じ疾患を持つ同世代と会う機会の少ない思春期CHD患者にとって、ワークショップは、同じ話題を共有し、仲間意識が生まれ、自らの思いや体験を表出しやすい環境を提供できた。保護者同士では、自然とピアカウンセリングの状況が成り立っていたと考えられた。【結論】思春期CHD患者を対象とした移行支援ワークショップは、患者、保護者にとって自己開示の機会となり、孤独感の軽減につながる可能性が示唆された。