[III-P03-5-04] 冠動脈病変合併川崎病患者の成人以降のフォローアップの現状
キーワード:移行期医療, 川崎病, 冠動脈瘤
【目的】中等度の川崎病冠動脈瘤は、退縮後も持続した血管リモデリング反応から遠隔期に冠動脈狭窄を生じるリスクがあるため長期的な管理が必要であり、内科への円滑な移行が望まれる。本研究では川崎病冠動脈瘤合併患者の長期管理の現状を明らかにし、その問題点を明らかにすることを目的とする。【方法】1985年以降に川崎病冠動脈瘤合併患者(冠動脈径Z値≧2.5)71例中、18歳以上となった25例(男18例)の受診状況を調査した。【結果】急性期冠動脈瘤は小瘤7例、中瘤10例、大瘤8例。最終観察時年齢は16(13-18)歳で小瘤全例、中瘤9例および大瘤1例で退縮がみられた。大瘤8例中6例(75%)は狭窄病変を合併し、冠動脈バイパス3例、経皮的血行再建2例を実施した。抗血栓療法は、抗凝固薬2例、抗血小板薬2例に行っていた。最終観察時、循環器内科移行5例、小児科継続5例、観察終了8例、未受診7例で、狭窄病変1例に未受診例があった。循環器内科移行の契機は就職・転居3例、結婚1例であった。一方、未受診7例中、進学や就職を機に受診が途絶えた例が3例あった。循環器内科移行例は高年齢、巨大瘤合併例、内服継続中という特徴があったが、冠動脈退縮後狭窄リスクがあるものの内服薬がない例では未受診例が多かった。【結語】ライフイベントは成人循環器内科移行の契機となりうるが、医療者と患者の情報共有が十分でないとドロップアウトの契機にもなりうる。小児期から個々の患者への継続した教育が重要となる。