[III-P03-5-08] 青年前期にS-ICDを植え込み、ライフステージの変化にあわせた生活指導を要した一例
キーワード:S-ICD, 生活指導, ライフステージ
【背景】デバイス植え込みを行った小児患者への生活指導は患者の発達段階に応じて変容する。また指導内容に一定の基準はなく、患者に合わせて対応する必要がある。今回、青年前期にS-ICD植込み後、青年中期に移行した患者に対してライフステージの変化に伴った問題に対し取り組んだ症例を報告する。【症例】17歳、男性。14歳時、体育の授業中に失神し当院へ救急搬送された。左冠動脈狭窄に対し冠動脈バイパス術を施行後、二次予防目的でS-ICDの植込みを行い退院した。高校での体育の授業中、意識下にVTでのICD作動を起こした。精査目的で入院し、VTに対してカテーテルアブレーション治療を実施した。入院中ICD作動によるPTSDを発症したため、看護面談を行い臨床心理士へ介入を依頼した。看護面談の中で、意識下の作動不安の他に将来の進路・職業選択の不安、思春期特有の不安も抱えている事が分かった。S-ICD植込みにより就業制限があり、目指す職業には就けないのではないかと考え、進路選択を狭めている状態であった。そのため、将来目指す職業を確認し、ICD植込み後の就業に関する指針や電波干渉の問題と照らし合わせながら進路選択の支援を行った。また、性生活による作動への不安を抱えていたため、医師と連携を取りながら病態と照らし合わせて説明した。【結果・課題】今回の症例では、ICD作動によるPTSDに加え、進路、職業選択の制限などといった将来への不安がICDの作動により助長された。医師、心理士と連携を取り適切な指導を行うことで不安を軽減することができた。青年期はライフステージの変化と共に、基礎疾患の受け止めや理解も変容し、疾患の管理が患者自身へ移行する時期である。しかし、デバイス植込み後の小児患者への支援は確立されておらず、医療者からの説明が十分に行われていない現状があるため、段階的、継続的に支援が必要であると示唆された。