日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表②

2021年9月7日(火) 13:30 〜 14:40 会場14 (Zoom)

座長:荒井 弘和(法政大学)

13:50 〜 14:10

[競技スポーツ-A-06] イップスチェックリストの開発および信頼性と妥当性の検討

*栗林 千聡1、武部 匡也2、荒井 弘和3 (1. 国立スポーツ科学センター、2. 立正大学心理学部、3. 法政大学文学部)

イップスは「スポーツパフォーマンスにおける微細運動技能の実行に影響を及ぼす、心理、神経筋の障害」のことを指し (Clark et al, 2015)、アスリートの競技生活においてさまざまな悪影響を及ぼす。これまでイップスのアセスメント法は統一されておらず、介入法確立の妨げとなっている (栗林ら、2019)。本研究では多様な競技に使用可能なイップスチェックリストを開発し、信頼性と妥当性を検討することを目的とした。
予備調査ではイップス操作的定義基準案 (栗林ら、2019) を参考に、大学教員2名とスポーツメンタルトレーニング指導士の協議によって項目を作成した。準備した項目について、大学教員や神経科医などの専門家4名が選定基準に沿って評定した。選定基準は(a) イップスの操作的定義 (栗林ら、2019) に沿った項目である、(b) 日本語を母国語とする高校生以上のアスリートが理解可能な表現である、(c) 特定のスポーツに限定されない項目である、であった。4名の専門家の一致率が100%であった10項目を準備した。
本調査では大学生アスリート215名を調査対象とし、そのうちイップス有と回答した77名を分析対象者とした (男性 26名、女性 51名、平均年齢 19.87、SD=1.24)。探索的因子分析を行った結果、2因子(第1因子:ジストニア、第2因子:不安)10項目が抽出された。α係数を算出したところ、「ジストニア」はα=.91、「不安」はα=. 77であった。妥当性の検討を行うために、作成した尺度とスポーツにおける競技特性不安尺度 (橋本ら、1993) との相関係数を算出したところ、「ジストニア」はr = .28 (p< .05)、「不安」はr = .40 (p< .001) であり、それぞれ中程度の相関が認められた。
今後は本研究で開発した尺度を精緻化し、幅広い年代や競技歴のアスリートにおけるイップスの実態を把握することが望まれる。