日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題A】大学体育の授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題A】テーマ別シンポジウム/大学体育の社会的使命とその実現可能性を考える:歴史的変遷からみる大学体育の現在地

2021年9月7日(火) 15:15 〜 17:15 会場5 (Zoom)

コーディネーター:高橋 浩二(長崎大学)、木村 華織(東海学園大学)

15:15 〜 15:55

[学校保健体育-SA-1] わが国の高等教育改革にともなう大学体育の変遷とその実践に関する知見集積

*木内 敦詞1 (1. 筑波大学)

<演者略歴>
筑波大学体育系教授。大阪工業大学准教授を経て2014年より現職。専門は大学体育論。筑波大学と鹿屋体育大学による3年制博士課程「大学体育スポーツ高度化共同専攻」に従事。(公社)全国大学体育連合常務理事/研究部長。「大学体育スポーツ学研究(旧大学体育学)」「大学教育学会誌」「スポーツパフォーマンス研究」編集委員。
大学体育は、わが国の高等教育改革の荒波の中でどのように変遷してきたのか。1991年の大学設置基準大綱化以降、多くの大学で体育の必修から選択への移行が進み、実技と講義からなる演習授業が増え、シラバス公開やFD授業アンケートの実施は常態化した。このように、大学体育が苦境に立たされたり、教員の負担が増えたことは事実だが、その一方で勝ち得た成果もある。その1つに、大学体育の実践に関する学術的知見の集積を挙げることができる。大学体育は何を学ぶ科目なのか、どのような体育授業がどのような点で高い学修効果を発揮するのか、などに関する「大学体育の授業研究」の蓄積である。これは、1990年代後半から米国高等教育界で広まったScholarship of Teaching and Learning(SoTL)の概念と一致する。SoTLとは、専門分野の研究と同様に、教育活動を論文として公表し他者からの批判的評価にさらすことで、教授・学習過程のレベルを向上させようという学術的探究をさす。高等教育に体育が堅固に位置づくためには、大学体育におけるSoTLの推進は必須であることを、最後に主張したい。