日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー03] 大筋的系列動作の観察学習効果と社会的スキルとの関係

〇石倉 忠夫1、廣光 佑哉2、北島 孟2 (1.同志社大学スポーツ健康科学部、2.同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科)

大筋的系列動作の観察学習において、相手の非言語的な情報を読み取る能力が優れ、視覚的情報や言語情報を記憶に記銘する処理能力が高いほど観察学習効果が速やかに現れることが報告されている(石倉・森、2018)。本研究は社会的スキルを一般的なコミュニケーションスキル能力として位置づけ、観察学習能力と社会的スキルとの関連性を検討した。被験者は課題に未経験で、ダンスや武道の経験のない大学生30名(男性18名)とした。課題は7つのポーズで構成される大筋的系列動作を20回観察し、3回繰り返し再生することであった。再生テストは10回目と20回目の観察の後に実施した。また、社会的スキルの評価には日本語版SSI(榧野、1988)を使用した。再生得点について、性別×再生テストによる2要因1繰り返しによる分散分析の結果、再生テスト要因による主効果が有意で(p=.002)、第1回目から第2回目にかけて再生得点が増加した。日本語版SSIの各下位尺度得点を説明変数、再生テスト得点を基準変数とし、重回帰分析(変数減少法)を行った。その結果、第1回目の再生テストにおいて「情緒的感受性」「社会的感受性」を投入した際の分散分析の結果に有意傾向が見られた(p=.051)。しかし、調整済R2は.197であったため、適合度は低いと評価された。「情緒的感受性」「社会的感受性」の標準化係数はそれぞれβ=-.502、β=.653であった。これらの結果から、情緒的感受性が低く社会的感受性が高い者ほど観察学習効果が速やかに現れるという関係性が示された。しかしながら、重回帰分析で適合度が低かったため、本研究で取り上げた日本語版SSI下位尺度の「情緒的感受性」「社会的感受性」が大筋的系列動作の観察学習の効果を説明することは難しいと考えられる。