[05 バーポー13] 投球動作の反復による後期コッキング期から加速期における骨盤回旋運動の変化
【目的】投球動作の反復による、後期コッキング期から加速期における骨盤回旋運動の変化を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】大学生野球投手6名(右投手3名、左投手3名)を対象とした。対象の年齢は 21.2±1.6 歳、身長は171.3±6.3cm、体重は 67.2±5.1kgである。10球10セット(計100 球)の投球を投球間隔15秒、セット間に3分間の休憩を取り行わせた。光学式三次元動作解析システム(Mac3D、Motion Analysis 社製)を用いて、1セット目(1~10球目の平均値)と10セット目(91~100球目の平均値)の投球動作の変化を検討した。【結果】後期コッキング期から加速期においての骨盤の回旋角度は、1セット目79.7±8.4(°)、10セット目72.9±11.6(°)であり、有意に低下した(p< 0.05)。また、骨盤の回旋角速度は、1セット目585.4±52.4(°/s)、10セット目530.1±60.1(°/s)であり、有意に低下した(p< 0.01)。球速と上胴の回旋運動に有意な変化は無かった。【考察】1 セット目と 10 セット目で骨盤の回旋運動が有意に低下したことから、投球動作の反復によって、安定した骨盤の回旋運動を行うために必要な筋力や可動域が低下した可能性が考えられる。また、骨盤の回旋運動の低下は、運動連鎖の破綻に繋がり、代償的に体幹回旋運動や肩関節水平屈曲運動を強めて、肩関節外旋運動を誘発することが報告されている(宮下.2012)。本研究では、骨盤の回旋運動が低下したにも関わらず、上胴の回旋運動と球速に有意な変化が認められなかったことから、骨盤の回旋運動低下を胸椎の回旋で代償したと考えられる。【結論】投球動作の反復により、後期コッキング期から加速期においての骨盤の回旋角度と回旋角速度が有意に低下した。