日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表①

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:05 会場10 (Zoom)

座長:木島 章文(山梨大学)

14:35 〜 14:50

[学校保健体育-C-04] 新型コロナウイルス感染症の流行前後における小学生の体力・運動能力の比較

*長野 康平1、菊池 信太郎2、中村 和彦3 (1. 比治山大学短期大学部、2. 医療法人仁寿会菊池医院、3. 山梨大学)

【背景】新型コロナウイルス感染症の流行(以下コロナ禍)がパンデミックになって以降、子どもの身体活動を取り巻く環境は一変し、従来の様式から転換せざるを得ない状況が続いている。そのため従前に比べて、身体活動量が減少したことは容易に想像がつく。実際に、コロナ禍の子どもの困りごとの上位に運動不足になることが挙げられている(野井ほか、2020)。このような中、子どもの体力・運動能力の低下が予想されるが、大規模集団を対象とした検討はこれまでにされていない。【目的】コロナ禍前後で小学生の体力・運動能力に差異がみられるかを検討すること。【方法】福島県郡山市の全小学校児童を対象とし、2019年度16178名、2020年度10871名からデータを収集した。調査は、2019年度は5・6月であったが、2020年度は学校生活が安定してきた9・10月に実施した。調査項目は、新体力テスト8項目に加え、身長・体重および基本的な生活習慣6項目とした。解析では調査時期の影響を考慮するために、スポーツ庁の体力・運動能力調査の過去のデータから、1年間当たりの変化量を5年間分算出し、その平均値から調査時期の差分の値を2020年度データから減じた。データの比較には対応のないt検定を用いた。【結果】小学5年生では男女ともに、長座体前屈と立ち幅跳び以外で、コロナ禍が有意な低値を示した。身長・体重ともにコロナ禍が有意な高値を示した。【結論】コロナ禍で子どもの体力・運動能力の低下が確認された。日常的な身体活動の影響を受けると考えられる50m走や20mシャトルランなどで低値を示したことは、コロナ禍における身体活動量の減少を反映していると考えられる。コロナ禍の終息が見えない現状では、子どもの体力・運動能力を維持・向上するために、感染防止を図りつつ日常的な子どもの身体活動を確保する取組が重要である。