日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表③

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:10 会場12 (Zoom)

座長:柏木 悠(専修大学)

14:50 〜 15:10

[学校保健体育-C-15] 水泳授業における安定した呼吸の獲得と泳力との関係について

大学生を対象とした授業実践で試行した学習カードの分析をもとにして

*大庭 昌昭1、三本 雄樹2 (1. 新潟大学(人文社会科学系)、2. 新潟市立小針小学校)

平成29年に告示された小学校学習指導要領において、水泳運動領域の高学年の内容に「安全確保につながる運動」が新設された。このことは、水泳運動の学習において「安定した呼吸の獲得」がより重視された結果であると言われる。本研究では、安全確保につながる運動として「背浮き」と「浮き沈み」を取り入れた授業実践(受講者135名)を行い、その影響について検討することを目的とした。受講者は、事前に申告された泳力をもとに泳力別5グループ編成とした。全グループ1回目の実習は、安全確保につながる運動(背浮きと浮き沈み)に焦点化した学習プログラム(説明を含め約40分間)で統一し、2回目以降の学習プログラムおよび回数は泳力に合わせて設定した。本実践の最終的な泳力目標は、クロール及び平泳ぎでゆったりと25mを泳ぐことであった。「呼吸メーター(VASを参考にした主観的評価)」を核とした振り返りが可能な学習カード(OPPシート)を試作し、毎時間終了後に、呼吸リズム(吸う、止める、吐く)を核にした振り返りを記述させた。呼吸メーターを分析した結果、泳ぐ際に感じる苦しさについて、授業実施前にみられたグループ間での有意な差が授業終了後には解消された。学習カードに記述された内容を分析した結果からも、苦しさが減少し呼吸が楽になったことが確認できた。また、泳力が低いグループにおいて、クロールや平泳ぎの泳力試験でのストローク頻度の減少やストローク長の増大もみられたことから、本実践を通してある程度安定した呼吸を獲得し、ゆったりとした泳ぎに繋がったと考えられる。