日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題C】人生100年時代に向けていかに人々のスポーツ権を保障するか

生涯スポーツ研究部会【課題C】口頭発表①

2021年9月8日(水) 14:00 〜 15:15 会場21 (Zoom)

座長:香村 恵介(名城大学)

14:00 〜 14:20

[生涯スポーツ-C-01] シルホイールの初心者を対象とした運動プログラム開発

スピン運動の習得を目指して

*金井 茂樹1、本谷 聡2、堀口 文2、松浦 稜3、杉井 勇介4、狩野 莉奈4、大畠 未都来4 (1. 筑波大学研究員、2. 筑波大学、3. 東京藝術大学、4. 筑波大学大学院)

 シルホイールとは鉄で作られた等身大程の一輪の器具の名称であり、またその器具を用いて多種多様な回転運動を実施する運動種目の名称でもある。主にドイツで普及が進んでおり、大学や体操クラブなどで実践されている。しかし、シルホイールを実施する際に必要な運動プログラムや指導方法に関して、科学的な調査に基づいて安全性や運動効果が検証されたものは、いまだに確認されていない。シルホイールは全身をあらゆる方向に回転させる特殊な運動形態を有することから、特に初心者にとって適切な知見に基づいた安全で効率的な運動プログラムの構築が必要不可欠であると考えた。
 本研究の目的は、シルホイールの初心者14名を対象として、最も基本的な運動形態のひとつであるスピン運動の習得に向けた全5回(各30分間)の運動プログラムを開発して実施し、主にその運動プログラムに対する内省や実施前後におけるスピン運動の回転数や回転時間、またシルホイールの回転運動に対する内省を調査し、シルホイールの初心者が安全で効率的に楽しみながら取り組める運動プログラム構築に向けた実践的知見を得ることとした。
 主な結果は次の通りであった。運動プログラムの器具活用系における達成度は高値であり、容易に実施できるものであった。また、スピン運動の回転数や回転時間に有意な増加(p<.01)が見られた。さらに、シルホイールの回転運動に対する恐怖度は有意に減少(p<.05)した一方で興味度は増加する傾向が見られたことから、シルホイールへの恐怖感は減少し楽しみながら取り組めていたことが確認された。本研究から、シルホイールの初心者がスピン運動の習得に向けて安全に楽しみながら実施できる方法として、運動構造を細分化して運動プログラムを開発し難易度が段階的となるように実施させることや、ペア運動やゲーム性の導入、適切な下り方の指導などが効果的である可能性が示唆された。