日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題B】認知機能の維持・改善に運動・スポーツはいかに貢献するか

健康福祉研究部会【課題B】口頭発表①

2021年9月8日(水) 09:00 〜 10:25 会場23 (Zoom)

座長:細谷 洋子(東洋大学)

09:45 〜 10:05

[健康福祉-B-04] 自立生活を送る高齢女性の身体諸機能、栄養状態、心理要因の関連

フレイル予備群のスクリーニングに向けて

*水村(久埜) 真由美1、河野 由2、菊地 淳子3、岡 千春1、伊藤 亜矢子4 (1. お茶の水女子大学、2. 国立スポーツ科学センター、3. お茶の水女子大学大学院、4. 名古屋市立大学)

女性は、平均寿命と健康寿命との差や、75歳以上での要介護者の増加も大きいことから、自立した生活を営む段階よりフレイルに関連する要因を検討することは喫緊の課題と考える。そこで本研究は、健康に関連する身体、栄養、心理の3要因の相関関係から自立生活を送る高齢女性のフレイル危険因子を検討することを目的とする。対象は、60歳から85歳の自立した生活を送る女性26名であった。①身体組成計測(超音波Bモード画像による皮下脂肪厚および筋厚計測を含む)、②身体機能計測(2ステップテスト、ファンクショナルリーチ、長座体前屈、等速性脚伸展パワー)、③認知機能(MSSE)および包括的健康度調査、④食物頻度摂取調査票による栄養調査、⑤心理指標調査(老年期うつ評価尺度)、⑥フレイル基本チェックリスト(厚生労働省)の6種類の調査を行い、調査項目間の相関関係を検討した。その結果、脂質摂取量は年齢との間に有意な正の相関が、下腿前部の筋厚、2ステップテスト、老年期うつ評価尺度の総得点は年齢との間に有意な負の相関を示した。総摂取エネルギー量と2ステップテストの間に有意な負の相関が認められた。フレイル基本チェック得点と老年期うつ評価尺度との間には有意な正の相関が認められた。本研究の結果、自立した生活を送る高齢女性は、身体機能および栄養状態よりも、心理指標が要介護リスクとの関連性がより高い可能性が示唆された。