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[健康福祉-B-05] コロナ禍による高齢者の身体活動量の変化と下肢筋力への影響
2020年初頭より感染が拡大したCOVID – 19(以下、新型コロナウィルス)は、現在でも我々の生活に大きな影響を与えている。日本でも感染症対策として4月に緊急事態宣言が発令され、5月までの外出自粛要請が出されその期間の社会的、健康目的での活動が大きく制限されるという事態になった。この約2ヶ月に及ぶ運動自粛に伴う身体活動量の制限はいったいどの程度のものであり、その影響は体力にどのように影響が出ているのであろうかは不明である。そのため横浜市スポーツ医科学センターでは事業の一つである『スポーツ版人間ドックSports Program Service』の2020年度受診者を対象に申告型活動量のアンケートを行いうち特に高齢者(男性102名、女性142名) の自粛期間前(2020年3月まで)、自粛中(2020年4月から5月)、自粛解除後(2020年6月以降)の身体活動量を調査した。また、このうち複数回受診者(男性64名、女性96名)を対象に下肢筋力、特に大腿部の筋力を、等速性筋力測定装置を用いて測定し発揮筋力の変化量と過去の変化量との比較を行った。それぞれの結果の検定にはWilcoxonの符号順位検定を行った。活動量調査の結果、自粛期間中は自粛前と比較して歩行量が男性で16%、女性で21%程度減少しているという結果となった。また生活の中で女性は座っている時間が増えているという結果となった。またスポーツや運動習慣が男女ともに大きく落ち込んでおり、男性で60%、女性では74%減少している結果となった。さらに運動習慣に関しては自粛解除後も自粛前の水準に戻っていないことが示された。また下肢筋力は通常の年齢による低下量と比較すると、膝伸展トルクでは男性で3.28倍、女性で6.54倍、屈曲トルクでは男性で4.68倍、女性で16.99倍と下肢筋力が男女ともに顕著に低下していることが示された。