日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題B】保健体育授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題B】テーマ別シンポジウム/より良質な保健体育授業の具体像を考える: コロナ禍の保健体育から、あらためてその意義と価値を整理する

2021年9月8日(水) 10:45 〜 12:45 会場3 (Zoom)

コーディネーター:髙橋 和子(静岡産業大学)、細越 淳二(国士舘大学)

11:45 〜 12:15

[学校保健体育-SB-3] 当事者として社会の課題に向き合う保健授業を目指して

*丸山 洋生1 (1. 愛知県立瀬戸高等学校)

<演者略歴>
名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士前期課程修了。昭和61年愛知県公立学校教員、平成12年(財)愛知公園協会主事、平成14年(財)愛知県体育協会主査、平成17年愛知県教育委員会体育スポーツ課指導主事、平成19年同主査、平成22年愛知県立鳴海高等学校教頭、令和元年愛知県立瀬戸高等学校校長、現在に至る。
 若者の無自覚な行動が、新型コロナウイルス感染症拡大の一因として指摘されている。このことは、健康で安全な生活を目指して行われてきたはずのこれまでの保健授業が、生徒の意思決定と行動選択に真に関与してきたか否かを、私たち保健体育教員に厳しく問いかけている。私たちは生徒に「感染症は遠く離れた教科書の中の出来事であり、社会的対策によって守られている自分には関係のないこと」と誤認させてきたのではないだろうか。
 パンデミックが教科書の記述を超えて生徒の眼前に広がっている今日、「新型コロナウイルス感染症を学ぶ」ことにとどまらない、「新型コロナウイルス感染症で学ぶ」ための授業づくりが重要である。健康に関する原則に基づいて課題や情報を捉え、当事者としてリスク軽減のための個人の取組を考えたり、社会の取組に当事者として協力する態度を育てたりする教育活動は、未知の事態にも適切に対処する力を高めることが期待できる。ポスト・コロナの保健授業は、「社会に開かれた教育課程」や「カリキュラム・マネジメント」の視点を踏まえ、総合的な探究の時間や特別活動とも関連付けて、その充実を図っていく必要がある。