The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

スポーツ文化研究部会 » 【課題B】人々の生活に根ざした多様なスポーツ文化をいかに醸成していくか

スポーツ文化研究部会【課題B】口頭発表②

Wed. Sep 8, 2021 9:00 AM - 10:20 AM Room 8 (Zoom)

Chair: Emika Kato (Kyoto Sangyo University)

9:20 AM - 9:40 AM

[スポーツ文化-B-06] 複数種目制運動部に対する教員志望学生の態度に影響する要因

運動部活動に関する素朴理論に着目して

*Toshihiro Hayashida1, Norihiro Shimizu2 (1. Doctoral Program, University of Tsukuba, 2. University of Tsukuba)

生涯スポーツ社会の実現や多様なニーズに対応するため、青少年期に複数のスポーツ種目を実施し得る環境を整備することが政策等により要請されてきた。ゆえに、青少年のスポーツ生活を支える学校体育経営組織が運動部活動の一つとして複数種目制運動部を採用することは重要な課題とされている。しかし、そうした運動部活動の採用はほとんど行われておらず、採用の停滞は長らく続いている。そこで本研究は、複数種目制運動部の採用が停滞する原因の一端を究明するために、将来的に教師になることが予想される教員志望学生を対象に、複数種目制運動部に対する態度とそれに影響を及ぼす要因を明らかにする。なお、人が新規的な取り組みに対する態度を示す際には、自らの経験から形成された素朴理論を判断基準にすることが指摘されている。これらの知見を踏まえ、本研究では運動部活動に関する素朴理論を取り上げ、複数種目制運動部に対する態度との関係を分析・検討する。
本研究では、教職課程を履修している大学生に対して質問紙調査を実施した。質問項目には、個人属性、複数種目制運動部に対する態度、運動部活動に関する素朴理論を設定した。得られたデータをもとに、複数種目制運動部に対する態度の因子分析を行った後に、態度の因子得点と運動部活動に関する素朴理論との関係を分析した。その結果、複数種目制運動部に対する態度は2つの因子から構成されていることが明らかになった。また、運動部活動に関する素朴理論との関連がみられ、運動部活動において試合や競技会で勝利を目指すことや生徒が真面目に取り組むことを当然視する素朴理論を有する者が複数種目制運動部に対してネガティブな態度を示す傾向が確認された。これらの結果を踏まえて、運動部活動をめぐる志向性(勝利志向)や努力主義といった固定観念が複数種目制運動部の採用の停滞状況を招いている可能性を指摘する。