The 72nd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

競技スポーツ研究部会 » 【課題A】 トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表①

Wed. Aug 31, 2022 11:00 AM - 11:47 AM 第1会場 (3号館3階301教室)

Chair: Wakaki Uchida (Kyushu University)

11:16 AM - 11:31 AM

[競技スポーツ-A-02] 大学における学習支援は競技スポーツを教育に結びつけられるのか(哲)

*Takaharu Kishii1 (1. Univ. of Tsukuba)

本発表は、学習支援を切り口に「大学スポーツ」の教育理念を問うものである。
 学生のスポーツは今まで体育会や学生競技連盟などの学生自治により営まれ、大学はほとんど関与してこなかった。そのような大学にとって不透明な運営から生じる諸課題の解決を目的の一つとしながら2019年3月に一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)が設立された。
 UNIVASが振興の対象とする「大学スポーツ」は、「教育、研究又は社会貢献の一環として行われる学生の競技スポーツ」(定款第3条)として定義されている。これまでは単に学生の行う競技スポーツであったものを「大学スポーツ」と呼び直しているのであるが、その経緯は定かにされていない。ここから、教育の一環としての競技スポーツとはどのようなものであるのか、言い換えれば、「大学スポーツ」の教育理念はどのようなものであるか、という問いが生じる。
 教育のための事業としてよく例示される方策が、競技スポーツ活動への参加に際した成績基準の設定と競技スポーツに取り組む学生に対する学習支援である。その背景としてよく想定されるのは、授業を疎かにする学生の姿、あるいはそれを黙認する大学の姿勢である。なかでも、それを課題と捉え唱えられる学習支援は、大学で為される教育(授業)に向かうこと、すなわち学習すること、を助けるという点でたしかに教育的な取り組みのように見える。
 しかし、これには問題点もある。すなわち、ここでは競技スポーツが教育を妨げる要素になっていないと言うだけで教育的な取り組みであるとまでは言えていないということである。ただし、仮に支援に積極的な教育としての要素が見つけられるのであればこの問題も解消されよう。つまり、この支援が大学教育においてどう捉えられているかを探ることは、学習支援に教育としての根拠のひとつを置く「大学スポーツ」の掲げる教育理念を問う方法として有効であろう。