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[学校保健体育-A-04] 大学体育授業の主観的恩恵に及ぼす学修者個人要因および学修状況要因の検討(心)
学修成果の要因モデル構築に向けて
高等教育機関における社会的成果の把握は世界的な潮流となり、わが国でも大学教育の学修成果の可視化が求められている。大学教育では個々の科目の総和がプログラム全体としての学修成果になると捉えられ、認証評価等による評価のみでは十分ではない。体育科目レベルでは、近年、学習者の自己報告に基づく評価ツール(初年次体育授業の主観的恩恵評価尺度:PBS-FYPE)が作成され、平常時やコロナ禍における大学体育授業による学修成果の把握が進められている(西田他、2016、2022)。同時に、いくつかの体育授業の学修成果要因が見出されているものの、断片的要因にフォーカスしているため学修成果を高める知見は揃っていない。本研究では、大学体育授業の学修成果へ影響する要因を明らかにすることを目的とした。「大学体育授業研究プロジェクト(UPE Project)」にて、2017年に複数回調査を実施し、収集されたデータより体育授業の受講者を分析対象者とした。調査内容は、学修者個人要因としてENDCOREs、社会性測定尺度、レジリエンス要因尺度、日本語版TIPI-J、また学修状況要因として学習動機尺度、大学生版運動不振尺度、大学生版体育授業における動機づけ雰囲気測定尺度、大学体育版教員リーダーシップ行動尺度、大学体育実技経験評価尺度、そしてPBS-FYPEであった。データ分析を行った結果、PBS-FYPE全体得点について、まず学修者個人要因では「意思表示」、「対人関係」、「統御力」が抽出された。次に、学修状況要因では「集団志向」、「充実志向」、そして、「熟達雰囲気」「挑戦達成」が抽出された。 本研究にて学修者個人要因と学修状況要因から捉えることより、複数の要因が関連していることが明らかになった。今後は、各関連要因の主観的恩恵への影響性を詳細に検討し、より高い学修成果を得るための学修成果獲得モデルを構築していく必要性がある。