[健康福祉-SB-1] Cognitive function is maintained just living in a community where exercise and sports are flourishing!
<演者略歴>
博士(体育科学) 筑波大学大学院体育科学専攻を修了後、ユヴァスキュラ大学ジェロントロジーリサーチセンターポスドク研究員、千葉大学予防医学センター特任助教を経て現職。主に高齢者を対象とした運動・スポーツ疫学、公衆衛生学を専門とする。本学会では「測定評価」「介護予防・健康づくり」専門領域に所属。
博士(体育科学) 筑波大学大学院体育科学専攻を修了後、ユヴァスキュラ大学ジェロントロジーリサーチセンターポスドク研究員、千葉大学予防医学センター特任助教を経て現職。主に高齢者を対象とした運動・スポーツ疫学、公衆衛生学を専門とする。本学会では「測定評価」「介護予防・健康づくり」専門領域に所属。
高齢者を対象とした多くの観察研究や介入研究の知見が蓄積され、適度な身体活動の実践は認知機能を良好に保ち、認知症予防に寄与する可能性が示されてきた。さらに、運動・スポーツは一人でおこなうよりも、グループに参加して誰かと一緒におこなうことで、得られる健康効果がさらに大きくなることも注目されている。これらの報告は個人のライフスタイルと認知機能の関連に着目したものであるが、近年、高齢者が暮らす地域環境が、認知症リスクを増減させる可能性も見えてきた。その環境要因の一つとして「運動・スポーツの盛んさ」があることを、演者らは全国7道県・16市町村に在住する約4万人の高齢者を6年間追跡したコホート研究により明らかにした。地域(≒学区)の中で、10人に1人の高齢者が運動・スポーツのグループに新たに参加するようになった(参加者割合が10%ポイント高くなった)と仮定した場合に、その地域に暮らす全ての高齢者の認知症リスクが(その人自身の参加・不参加を問わず)8%低くなることを突き止めた。なぜこのようなことが起こりうるのか、運動・スポーツの振興が認知機能の維持・向上に果たす新たな可能性について紹介する。