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[学校保健体育-C-11] ノリ感を重視したリズムの乗り支援の検討(教,方,バ,心)
平成20年改訂学習指導要領で「現代的なリズムのダンス」が導入されてから10年以上が経つ。しかし、そのダンスの技能にあたる「リズムの乗り」については、「リズムに乗る」そのものに関する見解が散見されている(宮本,2011;松尾,2015;原田,2018)。この「現代的なリズムのダンス」は他のダンス内容に比べ実施率が高く、生徒らに人気が高いダンスである(中村・浦井,2006)。一方で、苦手な生徒の理由の一つには「リズムに乗れない」ことが指摘されている(松尾,2015)。そこで本研究では、音楽や音楽心理学の分野で用いられている「ノリ」に着目した。「ノリ」とは演奏時や鑑賞時の楽しさや高揚感、一体感といった気分の他、リズムパターンによって体を動かしたくなる音楽や演奏時の音楽表現に用いられる。また「ノリ」は、西洋音楽でのグルーブ(Groove)と同類とされている(Etani et al., 2018)。そこで本研究では、気分がノッて踊る、すなわちノリノリで踊ることをノリ感と定義し、ノリ感の有無やリズムの乗りでの屈伸動作(ダウン)の動作特徴量より差異の検討を行った。実験参加者にはダンス専門家2名〔世界大会(FISU)1位受賞者およびダンス専門教員〕に125bpmのリズム音にて3つの異なる条件(無感情、リズムの乗り、気分のノリ)でのダウン動作について、マーカレス骨格推定ソフトウエアを用いた動作解析を行った。その結果、無条件に比べリズムの乗りや気分のノリでのダウン動作では、無感情に比べ振幅が大きく屈伸時のタイミングが音より速く行われていることが示された。さらに半構造化インタビューの結果、気分のノリのダウン動作は、自由や開放的に実施しやすいことが明らかになった。これらの結果より、ノリ感を重視した指導はリズムに乗って全身で踊る一助となる可能性が示された。