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[学校保健体育-C-01] 中学校体育教師における一般的因果律志向性および基本的心理欲求の充足・不満が欲求支援・阻害行動に及ぼす影響(教)
【緒言】子ども達のメンタルヘルスに関する問題を背景に、学校体育において情意領域(Affective domain)の学習成果への注目が高まっている。本研究では、情意領域の学習成果に影響を与える体育教師の取り組みに関して、自己決定理論に基づいた欲求支援・阻害行動に着目した。しかし、欲求支援行動を実践もしくは阻害行動を抑制できる教師の特性についてあまり知られていないことが課題である。そこで、欲求支援・阻害行動に影響を与える体育教師の個人特性について検討することとした。本研究では、自己決定理論を踏まえ、教師自身の仕事に対する自律性、有能感、同僚教員や生徒との関係性から構成される基本的心理欲求の充足及び不満と、教師自身の一般的因果律志向性がどの程度欲求支援行動に影響を与えているか検証することを目的とした。【方法】教師の欲求支援・阻害行動を評価する質問紙はSituations-in-School-PE(SIS-PE)を用いた。SIS-PEは、教師の欲求支援行動として「自律性支援」と「構造」があり、欲求阻害行動として「統制」と「放任」の計4つの下位尺度で構成されている。教師の個人特性を規定する変数としては、一般的因果志向性尺度と基本的心理欲求の充足・不満尺度の日本語版を用いた。調査は中学校体育教師を対象としてWebアンケートで実施した。ランダムに抽出した東京都の公立中学校の学校長宛てに研究参加協力を依頼し、これまでに32名(男性27名、女性5名)から調査協力への同意を得た。データ分析は、SIS-PEの各下位尺度を従属変数、各個人要因の変数を独立変数とした回帰分析を行った。【結果】回帰分析の結果、自律志向性から自律性支援行動、構造行動、放任行動を推定する有意な回帰式が得られた。さらに、関係性への欲求不満が放任行動と有意な関連を示した。本研究の結果は、中学校体育教師にとって、仕事に対する自律性と職場における良好な関係性が、体育授業における欲求支援・阻害行動に影響を及ぼす可能性を示唆した。