The 72nd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

学校保健体育研究部会 » 【課題C】 体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表①

Thu. Sep 1, 2022 2:00 PM - 3:03 PM 第5会場 (2号館4階4E教室)

Chair: Keiji Matsuda (Tokyo Gakugei University)

2:32 PM - 2:47 PM

[学校保健体育-C-03] 中学校の創作ダンス授業における指導未経験教師の教師行動に関する事例研究(教)

指導上の困難点と課題の検討

*Masako Kimiwada1 (1. Juntendo)

【背景と目的】
中学校のダンス領域の内容として創作ダンス、フォークダンス、現代的なリズムのダンスの3つがあるが、中でも創作ダンスは「指導が難しい」と感じている教師が多い(中村、2013)と報告されている。体育・スポーツを専門とし、一定の目標に向かって「競う」「鍛える」ということに慣れ親しんできた体育教師の多くは、「多様に表現する」ことを目標とする創作型ダンスの授業の指導において、やりづらさや困難さを感じることが推察される。
そこで本研究は、ダンス指導未経験の教師が創作型ダンスの授業のどのような場面に困難を感じるのかについて分析するとともに、指導力向上のための課題を検討することを目的とした。
【方法】
授業者は、ダンス指導未経験の教師1名(教職2年目、男性)であった。学習指導書に掲載された単元計画に則った中学校1年生の創作ダンス授業6時間の単元での教師行動を分析対象とした。
①授業中の教師行動を動画及び音声で記録し、同校の熟練教師(ダンス指導経験33年)による同単元の記録動画の授業展開と比較した。
②授業前半の直接的指導の場面に着目し、未経験教師と熟練教師の発した指導言語のカテゴリー別発話数比較を行った。
③授業者に、授業のどのような場面で困ったか、「学習目標と内容の理解」「言葉かけ」「フィードバック」などの項目について半構造化インタビューおよびアンケートを実施し、①②の結果と合わせて、未経験教師の困難点と課題を分析した。
【結果】
未経験教師は創作ダンスの教材解釈が深まっておらず、特に「指導の手順」に混乱が見られた。また、生徒の動きを引き出すための「言葉かけ」が少なく、「フィードバック」も不十分だった。授業者本人も、授業で押さえるべき技能をはっきりと把握できずに授業に臨むことに困難点を感じていた。以上から、「学習目標と内容の理解」が未経験教師にとって優先すべき課題であると示唆された。