11:12 AM - 11:24 AM
[08測-口-05] 一般男子学生及び学生競技者における筋力評価尺度としてのバーベル挙上能力について
ウエイトトレーニングの三大基本種目の1RM合計記録による評価
筋力評価は今日までに様々な方法によって行われてきたが、筋力や競技力を向上させるためのウエイトトレーニングとしてはバーベルを用いて行われることが多い。それにもかかわらず、バーベル挙上の1RM(最大挙上重量)を一般人と競技者間で同一基準を用いて測定し、筋力比較を行った報告は少ない。しかも総合的な筋力評価としての複数種目の1RM合計記録と全身を用いた運動パフォーマンスとの関連については不明な点が多い。本研究では、男子大学生を対象にバーベルを用いたスクワット、ベンチプレス、デッドリフト(三大基本種目)の1RMを測定し、その三種目合計記録による筋力評価の特徴を明らかにすることが目的であった。 被験者は一般学生157名と、陸上短距離、屋内球技、屋外球技、及びパワーリフティングの学生競技者139名(各々35名、58名、36名、10名)の合計296名であった。測定項目は三大基本種目の1RMであり、パワーリフティング競技基準を参考にしてその公認審判資格所持者が測定した。1RMの三種目合計記録の平均はそれぞれ255.0kg(4.027kg/wt)、333.2kg(5.118kg/wt)、282.3kg(4.380kg/wt)、294.9kg(4.375kg/wt)、及び435.0kg(5.786kg/wt)であった。一方、一般学生(50m:7秒56±0.53秒)及び陸上短距離競技者(100m:11秒20±0.41秒)における疾走速度と1RM間の相関については両群とも三種目各々で有意な相関が認められ、また1RMの三種目合計記録との相関において最も高い相関係数(一般学生:r=0.681, p<0.001, n=157、 陸上短距離競技者:r=0.662, p<0.001, n=35)が示された。 以上の結果から、ウエイトトレーニングの三大基本種目の1RM合計記録には競技者特性が存在することや、運動パフォーマンスやトレーニング効果の評価により有効である可能性が示唆された。