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[08測-口-09] 幼児期における全身反応時間と体力の関連
本研究は、幼児期における視覚での単一刺激に対する反応時間(全身反応時間)と体力の関連について検討することを目的とした。対象は、幼稚園に在籍する年長児222名(男児112名、女児110名)であった。全身反応時間の測定には、全身反応時間測定機器(リアクション、T.K.K.5408、竹井機器工業株式会社製)を使用し、光刺激の発光時から被検者の両脚が測定用マットから離れるまでの時間を測定した。体力の測定には7項目の幼児用体力テストを用い、項目ごとに性別および年齢別(0.5歳区分)にTスコア化し、3群(上位群≧60、40≦中位群<60、下位群<40)に分類した。また、7項目の主成分分析から得られた第一主成分得点を各項目と同様にTスコア化し、体力総合得点とした。全身反応時間における性差および年齢差(0.5歳区分)を検討するため、対応のない二要因分散分析を適用した。全身反応時間と体力の関連を検討するため、性別にピアソンの積率相関係数を算出した。また、全身反応時間3群間における体力の差を検討するため、対応のない一要因分散分析および多重比較検定(Bonferroni法)を適用した。分析の結果、全身反応時間と男女の立ち幅跳びおよびソフトボール投げ、男児の反復横跳びおよび握力との間に有意な負の相関関係が、男女の25m走との間に有意な正の相関関係が認められた。分散分析の結果、男児の25m走および女児の立ち幅跳びの2項目にそれぞれ有意な群間差が認められ、どちらの項目においても上位群が下位群に比べて有意に高い値を示した。これらのことから、幼児期における全身反応時間は、運動能力の中でも特に基礎的な運動能力と関連することから、幼児期に日常的な運動遊びを行い、体力の向上に加えて、視覚刺激に対する全身の反応能力を向上させることは重要であると考えられた。