5:48 PM - 6:08 PM
[03心-口-09] コロナ禍の中でメンタルトレーニングに取り組んだ高校男子チームの変容
TEAを用いた質的アプローチによる効果の検討
本研究では『高校男子バスケットボールチーム(以下、高校男子チームと称す)は全国大会に向けてどのように変容していったのか』というRQの下、TEAを用いて質的に検討する。TEAは、複線径路・等至性モデルと歴史的構造化サンプリング、発生の三層モデルを含む質的研究法であり、当該変容を文化心理学の視点から分析する。一方、これまでにもメンタルトレーニングの効果の検討については、様々な取り組みがなされてきているが、高校生男子チームの変容を質的に検討した例は希少である。特に、本研究で対象となった高校男子チームは、前年度まで全国大会の常連校であったが、前年度、全国大会出場を逃し、当年度にチームを刷新すべくメンタルトレーニングに取り組んだ経緯がある。そこでのメンタルトレーニングは、①思考を整える、②心身を整える、③動きを整える、といった3つの観点から、2週間に1回程度のチーム全体でのセッションを行い、そして、一部の希望者には個別セッション(1回40分程度:2週間に1回程度)を、ZOOMシステムを通じて実施した。全体セッションはマインドマップの記述から質的に検討し、個別セッションは個人の語りを分析対象とし、高校男子チームの変容として捉えようとした。分析の結果、チーム全体の流れとして、第1期:課題探索期、第2期:チーム力拡充期、第3期:コロナ感染拡大期、第4期:漸進期、第5期:発展期の5段階の中で、様々な選択肢を選び取りながら、全国大会出場と全国上位進出を目指していった。次に、個別セッションでは主力選手から、コロナ禍における思い通りにいかなさ、リーダーシップの欠如、目標の共有、チーム戦略へのアジャスト、個人的課題への直面化と克服、信頼関係の形成、など、様々な心理的課題と直面していた。本発表では、このようなチームでの取り組みの一端を紹介し、高校男子チームの変容について質的に検討した結果を議論したい。