[09方-ポ-13] マット運動の前方倒立回転とびの新しい練習方法に関する発生運動学的考察
マット運動における〈前方倒立回転とび〉という技は、保健体育教員養成を目的とした大学の器械運動において多くの場合に必須課題として取り上げられるものの一つであると言える。そのこともあってか、これまで様々な練習方法や指導法に関する研究が行われてきた。これらを概観すると、片足振り上げ倒立からの前方回転において着手技術の習得を狙いとしたものや、ネックスプリングやヘッドスプリングといった跳ね起きの練習課題において身体の反りによる回転加速を習得を狙いとしたものに分けられる。筆者はこれまでスポーツ学部の学生に対し授業や教員採用試験対策として9年の間、後者の跳ね起きをメインに前方倒立回転とびの指導を行なってきた。そこで指導に携わった学習者の中には、様々な練習課題や助言、幇助等を用いて指導しても「身体を反らせて回転する」という感覚がなかなか掴めないという者が少なくなかった。これには、マット運動や鉄棒の前回り、腹筋運動や仰向けから起き上がる動きなど、前方回転を伴う運動の場合、そのほとんどが体を屈曲して行うものであり、前方回転=身体の屈曲ということが学習者に潜在的に構成されていることが少なからず関係しているのではないかと考えられる。こうした事情を踏まえ、反りを伴った前方回転の初歩的な導入課題として以下のような目当て形態を考案し、2019年から実践している。
設営:運動面と着地面の段差が30〜40cmになるように補助台やマットを設置する。
課題:補助台の上で前転を約3/4回転して仰向けで終わる。足はマットに着地し、腰や背中や頭部はマットに着けたままにする。慣れてきたら、着地の前に腰を補助台から浮かすようにする。
本発表においては、指導実践の経験から得た知見を基に、この新しい練習方法の有効性について発生運動学の立場から分析を行うこととする。
設営:運動面と着地面の段差が30〜40cmになるように補助台やマットを設置する。
課題:補助台の上で前転を約3/4回転して仰向けで終わる。足はマットに着地し、腰や背中や頭部はマットに着けたままにする。慣れてきたら、着地の前に腰を補助台から浮かすようにする。
本発表においては、指導実践の経験から得た知見を基に、この新しい練習方法の有効性について発生運動学の立場から分析を行うこととする。