[07発-ポ-02] 小児における腸内細菌叢の特性および加齢、体組成との関連
近年、腸内細菌叢の組成によって代謝産物が変化し、宿主のエネルギー供給や免疫機能に影響を与え、がんや肥満、アレルギー、皮膚疾患、婦人科疾患、自閉症などにつながることが明らかにされている。また、その組成は、食事・運動・睡眠などの生活習慣、ストレス、加齢などによって大きく変化し、かなりの個体差が生じる。ただし、こうした先行研究は成人を対象に行われており、日本人小児における腸内細菌叢の特性は全く検討されておらず、その特性すら明らかとなっていない。そこで、本研究では、日本人小児を対象に次世代シーケンサーを用いて腸内細菌叢の組成を分析し、その多様性や主要な細菌の特性を明らかにすることを目的とした。対象者は、7.3歳から12.8歳の日本人男児59名であった(年齢9.8±1.7歳)。身長、体重、インピーダンス法による体組成を測定した。各対象者から糞便を採便容器にて収集し、細菌16S rRNAを標的とした定量的RT-PCR法による次世代シーケンサーを用いたメタゲノム解析を株式会社サイキンソーに委託した。本研究では、保有菌の種類数、多様性指標、ファーミキューテス門・バクテロイデス門・アクチノバクテリア門・プロテオバクテリア門の比率、ビフィズス菌、乳酸産生菌、酪酸産生菌、クロストリジウム属、アリスティペス属、フィーカリバクテリウム属、ストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ルミノコッカス属、フソバクテリウム属、コプロバチルス属、オシロスピラ属を検出した。これらの分析結果と年齢および体脂肪率との関係を検討した結果、それぞれとの間に相関関係は認められなかった。本研究の結果は、今後、小児の腸内細菌叢の組成に関連する因子を検討し、小児の健康の維持増進に寄与する基礎資料としたい。