[05バ-ポ-07] ボールの運動学変数間の共変関係に着目したテニスフォアハンドストロークにおけるボール落下位置精度向上戦略
球技ではボールを狙った位置に精度よくコントロールする能力は重要である。空中のボールは重力、空気抵抗、回転による揚力のみを受けるため、落下位置は空中に放たれた直後の三次元の位置・速度・角速度の 9 変数により決定される。そのため、ボール到達位置の精度を高めるにはこれらの変数の再現性を高めるほか、例えば速度が増加した際にはトップスピン量を増やすなど課題の達成に関係する変数間に相補的共変関係を持たせることによっても実現できる。本研究ではショットの精度が求められるテニスのフォアハンドストローク課題における、インパクト直後のボール変数間の相補的共変関係の有無を明らかにした。
9 人の大学生テニス選手(競技歴 9.1±3.2 年)に対し、相手コート上の的を狙ってストロークを約 50 球打たせる実験を行った。ボールの運動学データはモーションキャプチャシステムを用いて取得し、落下位置は弾道シミュレーションにより推定した。ボールの運動学変数間の共変関係が落下位置の精度向上に寄与した度合いは、測定された変数を試行間でランダムに入れ替えるランダマイズ法により評価した。
その結果、落下位置の精度を向上する共変関係が一部のボール変数間に認められたものの、反対に落下位置の精度を低下させる共変関係もあり、変数全体としては落下位置の精度の向上にも低下にも影響していなかった。
観測された共変関係が、試技のばらつきに対する自然な結果であるか、直前の試技の結果を受けた修正を反映したものかは区別がつかない。テニスストロークのような高速なラケットスイングにおいては、ラケットとそれを保持する腕の持つ運動量が大きいことから、ラケットの運動学変数を完全に意図通りに制御することが難しいと考えられる。そのため、いずれの場合であっても落下位置の精度向上に対して不利に働く共変関係を抑えることができなかった可能性がある。
9 人の大学生テニス選手(競技歴 9.1±3.2 年)に対し、相手コート上の的を狙ってストロークを約 50 球打たせる実験を行った。ボールの運動学データはモーションキャプチャシステムを用いて取得し、落下位置は弾道シミュレーションにより推定した。ボールの運動学変数間の共変関係が落下位置の精度向上に寄与した度合いは、測定された変数を試行間でランダムに入れ替えるランダマイズ法により評価した。
その結果、落下位置の精度を向上する共変関係が一部のボール変数間に認められたものの、反対に落下位置の精度を低下させる共変関係もあり、変数全体としては落下位置の精度の向上にも低下にも影響していなかった。
観測された共変関係が、試技のばらつきに対する自然な結果であるか、直前の試技の結果を受けた修正を反映したものかは区別がつかない。テニスストロークのような高速なラケットスイングにおいては、ラケットとそれを保持する腕の持つ運動量が大きいことから、ラケットの運動学変数を完全に意図通りに制御することが難しいと考えられる。そのため、いずれの場合であっても落下位置の精度向上に対して不利に働く共変関係を抑えることができなかった可能性がある。