[08測-ポ-11] 下肢の等尺性筋力発揮調整能の性差及び年代差
【背景】医学やリハビリテーションの分野等において、筋力発揮調整能(Controlled Force Exertion: CFE)の正確な測定方法の開発が望まれている。CFEは日常生活で不可欠な能力であるが、下肢の等尺性CFEの性差及び年代差は明らかにされていない。 【目的】本研究では若年者及び高齢者を対象に、下肢の等尺性CFEの性差及び年代差を検討する。【方法】若年男性21名(21.9±1.1歳)、若年女性21名(21.3±0.7歳)、高齢男性8名(69.6±5.1歳)、及び高齢女性16名(75.8±6.8歳)を対象とした。対象者は、脚伸展屈曲測定装置に両膝関節を90°で固定した椅坐位にてディスプレイ上の棒グラフ表示の最大筋力に対する相対的要求値(周期0.1Hz、目標中間値15%、変化幅10%)を両脚同時発揮にて30秒間追従した。測定は1分間の休息を挟み3試行とした。CFE評価変量は、開始5 秒以降から終了までの要求値と発揮値の誤差の総和とし、2試行目と3試行目の平均値を代表値とした。下肢の等尺性CFEの性差及び年代差を検討するために対応のない二要因分散分析を用いた。下肢の等尺性CFEと最大筋力の関係は男女をプールし、ピアソン相関係数により年代別に検討した。【結果】下肢の等尺性CFEにおいて交互作用(F=1.32, p=0.26, 偏η2=0.02)、性及び年代の両主効果に有意性は認められなかった(性:F=1.08, p=0.30, 偏η2=0.02,年代:F=3.94, p=0.05, 偏η2=0.06)。また、若年及び高齢者のいずれも下肢の等尺性CFEと最大筋力に有意な相関係数は認められなかった(若年者:r=-0.07, p=0.66,高齢者:r=-0.21, p=0.32)。【結論】下肢の等尺性CFEに性差及び年代差はなく、また、若年者及び高齢者いずれも最大筋力と関係がないと判断される。