[08測-ポ-13] 大学生を対象とした東京2020開催の是非とオリンピックの価値観の変化についての調査
オリンピック・パラリンピック東京2020(東京2020)は、スポーツを“する”、“観る”、“支える”といった多様なスポーツへのかかわり方を醸成する機会として期待されたが、COVID-19感染拡大による開催の是非など様々な否定的な報道がなされた大会でもあった。本研究では、大学生2,564名(男性1347名)を対象に東京2020後の2021年9月~12月にgoogle formを介し、東京2020の開催・延期の是非、および東京2020によってオリ・パラの価値観の変化について調査した。誘致決定(2013年)、1年延期決定(2020年)、開催決定(2021年)のそれぞれの時期における東京2020の開催の是非(3件法)について、「開催すべき」と回答した割合はそれぞれ50.5%, 19.9%, 18.2%と著しく低下していた。一方で「開催すべきではない」は10.2%, 25.0%, 24.8%と顕著な増加ではなく、「わからない」と回答する割合が増加した(39.3%, 55.1%, 57.1%)。開催決定時に「開催すべきではない」と回答した者の理由は、COVID-19感染拡大に関する項目が最も高かった(55.9~88.4%)が、「特別扱いされた」、「運営体制の不備」、「多額のコスト」、「経済効果が見込めない」も30%以上であった(30.3~46.2%)。東京2020によってオリンピックの価値観(5件法)が「悪くなった」者の割合は「良くなった」者とほぼ同等であった(16.3%と15.7%)。開催決定時における開催の是非と価値観の変化には有意な連関係数(V=0.24)が認められた。また、「悪くなった」者は、東京2020のネガティブな要因としてCOVID-19感染拡大に関する項目に加えて、「オリンピックの意義」や「運営体制の不備」、「政治利用された」などの項目にも反応していた。