日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(奇数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 10:00 〜 11:00 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-11] 体育系女子大学生のアンコンシャス・バイアスとキャリア志向性に関する研究

*伊藤 奈々1、芳地 泰幸1,2 (1. 日本女子体育大学大学院、2. 日本女子体育大学)

私たちは無意識のうちに形成された潜在的な思い込みを持っている。内閣府(2021年)の調査によると、年代や性別により無意識の思い込みである「性別役割意識」が異なることが明らかにされている。我が国では男女雇用機会均等法が制定されて以降も諸外国と比べ、女性の社会進出が進んでいない。そこで本研究では、職業選択やキャリア形成おける性別による無意識の思い込みの影響を検証するために体育系大学に通う女子大学生のアンコンシャス・バイアスとキャリア志向性との関連性を明らかにすることを目的とした。
 関東圏にある体育系大学に通う女子大生190名(平均年齢19.43±1.33歳)を対象にWebアンケート調査を実施した。調査項目には年齢や親の働き方、家事への関わり方に関する項目(計4項目)、アンコンシャス・バイアスに関する項目(性役割に対する考え:15項目)、キャリア志向性に関する項目(キャリアアンカーズセルフアセスメント:40項目)を採用した。
 まず、家庭環境との関連を検証した結果、親の働き方(夫婦共働きか否か)とアンコンシャス・バイアス、キャリア志向性との間には有意な得点差は示されなかった。一方、小・中学生の頃に父親が家事を担っていた学生の方がそうでない学生よりも「職場での上司・同僚へのお茶くみは女性がする方が良い(t= 2.20、p<.05)」と「受付、接客・応対(お茶だしなど)は女性の仕事だ(t= 3.01、p<.01)」において有意に高い得点を示した。次に、アンコンシャス・バイアスとキャリア志向性に関連を検証した結果、「育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない」と「経営管理コンピタンス(r= -.231、p<.01)」、「起業家的創造性(r= -.206、p<.01)」との間に弱い負の相関関係が示された。
 本研究の結果から因果関係や体育系女子大学生の特徴までを論じることはできないが、アンコンシャス・バイアスとキャリア志向性には関連性があることが示唆された。