[03心-ポ-27] 系列的タイミング学習におけるデモンストレーション提示角度が技能習得と自己効力感に及ぼす影響
【目的】本研究では系列的タイミング学習におけるデモンストレーションの提示角度が技能習得の能率と自己効力感に及ぼす影響について検討した。【方法】右手利きの大学生および大学院生34名(男性12名)を男女比が同じになるように2つの条件に振り分けた:系列的タイミング刺激を被験者の視線と同じ方向で提示する条件(以下、SVA)、視線の反対方向で提示する条件(以下、OVA)。実験課題は刺激提示・応答測定装置上の5つの赤色LED点灯で示す2種類の系列パターンを観察し、右手人差し指で順番通りに決められた時間でキーを押せるようになることであった。また、転移課題で目標時間を入れ替えて押し終えるよう求めた。実験は2日間行った。プレテスト、練習試行の順で、各系列パターン3試行ずつ順不同で実施した。練習試行では各条件に従って系列パターンを観察させ系列を再生させた。そして目標時間との誤差と再生した系列パターンの正誤をLCDに示した。これを1ブロックとして6ブロック行った。また、1、6ブロック目の後には再生に対する自信の程度(自己効力感)をVASにて評価させた。練習試行から10分後(直後テスト)および翌日(保持テスト)に、自信の程度の評価と再生テスト、そして転移テストを1ブロックずつ実施した。【結果】両条件ともに時間面で正確性と安定性に学習効果が示された。系列パターンの正確性についてはSVAで速やかな習得効果が示された。また、練習試行において系列再生の時間面と正確性に対する自信は両条件ともに上昇したが、SVAは直後再生テストから翌日の保持再生テストにかけて有意に低下した。【考察】学習者の視線と一致するデモンストレーションの提示角度は系列再生の習得を能率的にするが、練習試行後の自己効力感の維持は見込めないことが示唆された。