The 72nd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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専門領域別 » 体育心理学

体育心理学(偶数演題) ポスター発表

Fri. Sep 2, 2022 11:00 AM - 12:00 PM 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-04] 中学校の体育授業における競争時の目標設定の違いが楽しさに及ぼす影響

*Seiji Yoshitake1, Yosuke Sakairi2 (1. University of Tsukuba Doctoral Programs, 2. University of Tsukuba)

体育授業の目標の1つに、競争の楽しさや喜びを味わうことがある(文部科学省,2017)。しかし、陸上競技のリレー競走の授業では、走ることが苦手な生徒は、得意な生徒に追い抜かれたり引き離されたり等、多くの否定的な経験して、楽しさを味わうことが難しい。そうした問題の解決のために、目標設定の工夫に着目した。先行研究によると、スポーツの実施場面において、他者よりできることを目指すようなパフォーマンス目標(PG)と比較して、以前の自分よりもできるようになることを目指すようなマスタリー目標(MG)が楽しいことが示されている(Duda&Ntoumanis,2003)。そこで本研究では、走ることが苦手な生徒も含めて楽しむことが可能な授業の実現に、MGの活用が有効であると仮説をたて、PG授業とMG授業の楽しさを比較し、効果を検証することを目的とした。方法として、関東の公立中学校に所属する健常な女子生徒60名(平均年齢:13.7±0.5歳)を30人ずつ2群(A、B)にわけて、それぞれの群でPG授業とMG授業を実施順序のカウンターバランスをとって1回ずつ実施した。PG授業は「ゴールタイムを競争します」と教示し、MG授業は「4人の50m自己ベストの合計タイムからどれだけ伸ばせたかを競争します」と教示して、4×50mリレーを行った。リレー競走終了後に楽しさを測定するSport Flow Scale(谷木・坂入,2009)を実施し、PG授業とMG授業の差を比較した。その結果、MG授業の楽しさの得点が、PG授業よりも高いことが示された(p <.05)。また、50m走持ちタイムから走力上位群30人、下位群30人に分けて検討したところ、走力上位群では条件間の差がみられなかったが、走力下位群では、PG授業よりMG授業の楽しさの得点が高かった(p <.01)。以上のことから、陸上競技のリレー競走の授業において、マスタリー目標を重視することで、走ることが苦手な生徒も楽しく取り組め、得意な生徒でも退屈せずに取り組めることが示唆された。