[03心-ポ-18] 大学体育授業における運動能力観の変化と体育授業経験および運動習慣強度との関係
履修形態に着目して
本研究の目的は、大学生の体育授業前後における運動能力観の変化と体育授業経験および運動習慣強度との関係について、履修形態を考慮した検討を行うことである。調査対象者は、体育授業を履修した大学生38名(必修クラス15名,選択クラス23名,平均年齢18±0.51歳)とした。調査対象者には「運動能力観尺度(上地・三好,2019)」「運動習慣強度尺度(高見,2014)」を第1回目(調査1)と第14回目(調査2)の授業時に、「体育授業経験を問う調査(伊藤ほか,1999)」については第14回目の授業時のみに実施した。まず、履修形態(必修群・選択群)を独立変数、運動能力観の変化量および体育授業経験を従属変数とした一元配置分散分析を実施した。その結果、運動能力観の変化量(F(1,36)=5.54,p<0.05)と活動的不満(F(1,36)=9.28,p<0.01)、対人的不満(F(1,36)=5.52,p<0.05)に有意な差が確認できた。次に、履修形態(必修群・選択群)と授業前後(調査1-調査2)を独立変数、運動能力観の得点および運動習慣強度の各下位尺度得点を従属変数とした混合計画の二元配置分散分析を実施した。その結果、履修形態と授業前後に対して、運動能力観(F(1,36)=5.54,p<0.05)の交互作用が有意であった。また、授業前後に対して固定化行動のみ主効果が有意であった(F(1,36)=6.70,p<0.05)。さらに、履修形態に対しては否定的感情(F(1,36)=7.29,p<0.05)、自動性(F(1,36)=6.55,p<0.05)、契機動因(F(1,36)=14.26,p<0.01)の主効果が有意であった。これらの結果は、各履修形態によって体育活動に対する不満の認知や運動習慣の強さが異なることに加え、体育授業後の必修群の運動能力観は固定的から増大的に変化し、選択群では変動していないことが示唆された。