日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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体育心理学(偶数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 11:00 〜 12:00 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-42] 大学生陸上競技アスリートにおける実力発揮を狙いとした カフェインの摂取状況と主観的効果

*根本 大輝1、室伏 由佳1,2、川田 裕次郎1,2 (1. 順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科、2. 順天堂大学スポーツ健康科学部)

背景: カフェインは、アンチ・ドーピング規定に定められる禁止リスト(禁止物質)に指定されていないが、興奮作用をもたらす効果から監視リストに含まれている。カフェインはパフォーマンス向上効果を有することが生理学的に明らかにされている。具体的に、有酸素運動の遂行能力、瞬発系の種目の反復持続性、短時間・高強度負荷時の力量発揮、筋肉痛の緩和、消耗感や痛覚を減少させ活力を高めること、パフォーマンス向上効果の持続性 等である。一方、アスリートにおけるカフェインの主観的な効果は明らかにされていない。

目的: 大学生陸上競技アスリートを対象に、競技的ピークをもたらす狙いとしたカフェイン摂取状況ならびに運動遂行能力向上の主観的効果の実態を競技レベル(全国未満/全国以上)別に明らかにした。

方法: 大学生陸上競技アスリート86名を対象に、競技的ピーク を狙いとしたカフェイン摂取状況の有無、カフェイン摂取によるパフォーマンス 向上効果の持続性に対する主観的効果6項目を4件法(1全く当てはまらない~4とても当てはまる)で回答を求め、競技レベル間の得点比較を行った(t検定)。

結果: 競技的ピークをもたらす目的でのカフェイン摂取者は全体の31.4%(全国レベル未満10.5%、全国レベル以上20.9%)であった。主観的効果6項目の各得点は、どの項目にもおいても競技レベル間に有意な得点差は認められなかった。競技レベルに関わらず、最も高い主観的効果項目は、パフォーマンス向上効果の持続性 (3.0点)であり、最も低い項目は筋肉痛の緩和(1.6~1.8点)であった。

考察: カフェインの主観的効果の認識を有する項目は、競技レベル共通でパフォーマンス向上効果の持続性のみであり、競技レベル間の主観的効果には差はみられなかった。カフェインは生理学的にもパフォーマンス向上効果が認められている一方、アスリートが捉えている主観的効果との間に乖離が生じていた。