The 72nd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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専門領域別 » 体育科教育学

体育科教育学 ポスター発表

Fri. Sep 2, 2022 11:30 AM - 1:00 PM 第一体育館バレーボール2 (第一体育館バレーボール)

[11教-ポ-12] ベースボール型球技の授業におけるICTを活用した生徒の自己評価と教師評価の関連性について

中学校1年生の投球動作の評価に着目して

*Takuji Yamaguchi1, Ryoji Kasanami2, Yuudai Tanaka2, Yuji Yamaguchi3, Hiroki Matsuo4 (1. Nara Women’s University Secondary School, 2. nara university of education, 3. Yokohama Shogyo High School, 4. Morinomiya University of Medical Sciences)

緒言
ICT機器を用いた投球動作評価に関して、國土は小学生を対象に教師が評価する研究を行っている(2012)。一方三田地らは中学生硬式野球選手を対象に投球動作を自己評価させ、選手とは別の評価基準で理学療法士が評価する研究を行っている(2021)。このようにICT機器を用いて投球動作を評価した研究はあるが、野球初心者の生徒と野球指導経験のある教師が同一の基準で投球動作を評価し、両者の評価の差異について研究した報告は我々の渉猟した範囲では過去に見られない。本研究では中学校の体育の授業の際に、生徒と教師が同一の基準で生徒の投球動作を評価し、両者を比較することで、ICT機器を用いた我々の動作評価の有用性について検討した。
方法
対象はN中等教育学校に在籍する第1学年の男子生徒のうち野球未経験である44名。方法は、投球動作をiPadのカメラアプリを用いて撮影し、その動画を我々が作成した投球動作の評価基準に基づき生徒と教師1名がそれぞれ評価を行った。評価は、初回授業での投球動作の動画と、投球動作訓練を計8回授業で行った後の投球動作の動画の2つを最終の授業で評価した。評価基準は8項目をそれぞれ3点満点で評価する計24点満点である。群内の比較と群間の比較に対応のあるt検定を用いた。また二元配置分散分析により交互作用の有無を検定した。
結果
初回授業の投球動作は生徒評価が16.9±3.6、教師評価が17.0±3.6、介入後の投球動作は生徒評価が18.9±2.4、教師評価が18.9±2.6であった。生徒評価と教師評価はともに初回と比べ介入後が有意に向上した。初回、介入後いずれにおいても生徒評価と教師評価の間に有意差はなく、初回と介入後の間で生徒評価と教師評価の間に交互作用は認めなかった。
考察
以上の結果より我々が作成した評価基準を用いて、多くの生徒が自分の投球動作を野球指導経験のある教師と同等に評価できることがわかった。しかし一部の生徒は教師の評価と大きく乖離していたため、その原因を探るとともに、このような評価の乖離が起こらないような手立てを考える必要がある。