[11教-ポ-14] ダンス授業における「恥ずかしさ」尺度の開発
「恥ずかしさ」はダンス授業の活動を停滞させる最たる要因であるといっても過言ではない。しかしながら、その対処は、ダンスの指導書をみても、「恥ずかしがらないこと」といった学習の約束事で解消しようとしたり、教員の高圧的な指導によって学習者を踊らせたりする事態を目にする。この経験が生み出すのは、ダンス嫌いであり、生涯スポーツの指向とは逆行するものである。これまでにもダンス授業における「恥ずかしさ」の軽減に関する研究は数多くなされてきた(畑野・久山, 2016, 2017; 森川, 2017; 島田・石坂, 2010; 島田, 2011)。中でも田上(2014)の報告は、小学校段階では、学習者が他者との比較で恥ずかしさを感じるのに対し、中学校段階では自己の現実と理想との差異に恥ずかしさを感じるという有益な知見をもたらしている。ただし、田上の研究で用いた尺度や分析方法の妥当性の検討は十分ではなく、また一般的な「恥ずかしさ」に関する尺度については触れられていない。そこで本研究はダンス授業における「恥ずかしさ」尺度の開発し、その尺度の信頼性及び妥当性について検討することを目的とする。近畿圏の中学校3校を対象に、質問紙調査を実施した。質問項目の作成には、一般的な恥ずかしさに関する質問紙として、羞恥心や恥ずかしさの質問項目(平岡・中村, 2003; 杉浦ら, 2015)とシャイネス尺度(相川, 1991; Jones et al., 1986; 鈴木ら, 1997)の質問項目を照らし合わせ、構成概念妥当性を高め、質問項目を設定した。加えて、ダンス授業の恥ずかしさの要因についてダンス専門家に調査した結果(Ohnishi, 2021)も踏まえた。得られたデータを発達段階や性別等で因子分析を行い、「恥ずかしさ」の構成因子を抽出し、尺度を開発した。発表では開発された尺度の詳細について報告する。