The 72nd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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体育経営管理 ポスター発表

Fri. Sep 2, 2022 12:00 PM - 1:00 PM 第一体育館バレーボール3 (第一体育館バレーボール)

[06経-ポ-04] ICTを活用した大学生による中学校の運動部活動遠隔指導の試みと今後の展望

*Kentaro Inaba1 (1. Ishinomaki Senshu Univ.)

宮城県石巻市と石巻専修大学、ソフトバンク株式会社は2019年に包括連携協定を締結し、教育・スポーツの振興をはじめとするICTを活用した連携事業を展開させた。本報告は当該連携事業の一つである、中学運動部活動の遠隔指導プロジェクト(以下、本PJ)に焦点を当て、教育やスポーツにおけるICT利活用の効果や課題について考察し、ICT教育、とりわけ遠隔指導の展望について検討するものである。
 本PJの背景のひとつに義務教育課程における部活動指導者に関する問題がある。部活動指導者の長時間勤務や指導経験がない教師への負担(文部科学省, 2019)、競技経験の無い運動部活動の指導への負担(長野・中村, 2020)などが指摘されている。また他の背景としてICTを通じた指導の充実化が挙げられる。特に今般のCOVID-19の世界的流行は部活動やアスリートにも多大な影響を与えており(藤田ら,2020; 四方田, 2020; 小川ら, 2022; Evansら., 2020)、非接触による遠隔指導の重要性が増している。
 そこで本PJではソフトバンク株式会社が開発した「スマートコーチ」をプラットフォームに用いて、地域の中学校軟式野球部員を対象に、硬式野球部に所属する大学生が遠隔指導を行った。指導方法は、軟式野球部の指導者または部員自身が撮影した動画を、大学生がプラットフォーム上で添削、コメントを添付する形とした。指導は2019年11月~2022年3月にかけて、対面指導と遠隔指導を交えて複数回実施された。 指導の結果、未経験の指導者では気づかなかった点を指導できたり、大学生の指導技術やICTリテラシーの向上が見られたりした。一方課題として、中学部活動指導者へのインストラクションやプラットフォームに対するユーザー教育等が挙げられた。
 現在の世界的な状況を鑑みると、スポーツに関する遠隔指導は指導技術及びテクノロジー双方において重要性が増すと考えられる。今後は遠隔指導に関するより定量的・定性的な実証研究が必要である。