日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題B】保健体育授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題B】口頭発表③

2023年8月30日(水) 11:25 〜 12:24 RY203 (良心館2階RY203番教室)

座長:原 祐一(岡山大学)

11:55 〜 12:09

[学校保健体育-B-11] 小学校体育におけるラケットを用いたテニス授業の一般化可能性の検討(発,心)

*大西 祐司1、北村 哲1、小谷 幸平2、津田 恵実3 (1. びわこ成蹊スポーツ大学、2. 兵庫教育大学連合大学院、3. ウエストバージニア大学)

平成29年改訂の小学校学習指導要領解説において、ボール運動ネット型の例示に初めてテニスが示された。これまで小学校のネット型攻守一体タイプの授業実践は、手に板状のものを装着して行うテニピンを中心に多数報告がみられる(例えば、今井, 2012, 2018, 2021; 日本テニス協会, online)。これに対し、ラケットを使用した実践例は少なく、石原ら(2018)や佐藤・藤本(2018)の報告が見られるものの、前者は3時間のプログラムであること、後者は1クラス15名とクラス編成が比較的少数であることから特殊な事例といえる。したがって、報告されている教育効果も限定的である。そこで本研究は、小学校体育におけるラケットを用いたテニス授業の教育効果と授業実施の課題を明らかにすることを目的とした。研究対象は滋賀県内の小学校6年生3クラスの79名と授業者3名である。調査内容は、児童を対象とした単元前後の①体育授業への取り組み姿勢および②テニススキルの向上感、③テニスへの態度に関するアンケート調査、並びに授業者を対象とした単元前後の④インタビュー調査である。体育授業への取り組み姿勢の調査には、スポーツ版自己調整学習尺度(幾留ら, 2016)のエフォート因子を構成する6項目を用いた。その結果、体育授業への取り組み姿勢について、3クラス全体ではエフォート因子の値に単元前後で有意な差はみられなかった(t(71)=-.89, n.s.)。「クラス」と「単元」を独立変数として二要因の分散分析を行なった結果、「クラス」と「単元」の交互作用に有意な差がみられ(F(2,69)=3.85, p<.05)、単純主効果はみられなかった。当日の発表では、上述の結果詳細に加え、児童のテニススキルの向上感およびテニスへの態度、そして授業者のインタビュー調査の分析結果を踏まえて、テニス授業の一般化可能性について論じる。