The 73rd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表⑧

Thu. Aug 31, 2023 1:30 PM - 2:29 PM RY107 (良心館1階RY107番教室)

Chair: Emika Kato

2:00 PM - 2:14 PM

[競技スポーツ-C-31] 情動想起が上肢筋における皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響(生,心)

*Yume Mashiki1, Naotsugu Kaneko1, Tatsuya Kato2,3, Daiki Yamasaki1, Kimitaka Nakazawa1 (1. The University of Tokyo, Graduate School of Arts and Sciences, 2. Sony Computer Science Laboratories, 3. Japan Society for the Promotion of Science)

【背景】情動は脳の運動制御系に影響する。例えば、脳から筋への下行性経路である皮質脊髄路の興奮性(CSE)が情動介入によって変調することが知られている(Coombes et al., 2009, CABN)。しかし、情動が運動制御系に影響する神経機序の詳細、機能的意義、行動との関連性は不明である。本研究では、筋の機能的特性に応じて、CSEに対する情動系変調の影響が異なるとの仮説を立て、これを検証することを目的とする。
【方法】健常者4名を対象とした。CSEの指標として経頭蓋磁気刺激 (TMS) によって誘導される運動誘発電位 (MEP)を用いた。5種類の情動 (恐怖、悲しみ、怒り、喜び、ニュートラル)にまつわるエピソードを想起中に、一次運動野に対するTMSを12回行った(約1分間)。また、各情動想起課題中の上肢4筋におけるMEP振幅値を測定した。測定筋は、前腕2筋 (尺側手根屈筋、橈側手根伸筋)、手内筋2筋 (第一背側骨間筋、短母指外転筋)を対象とした。
【結果】ニュートラル条件におけるMEP振幅値を1として正規化した際の、各情動想起時における平均MEP振幅値を評価した。恐怖、悲しみ、怒り、喜びの情動介入条件において、尺側手根屈筋におけるMEP振幅値の増大は、橈側手根屈筋手根伸筋よりも顕著であることが認められた。また、尺側手根屈筋では喜び条件、橈側手根伸筋と第一背側骨間筋では恐怖条件、短母指外転筋では悲しみと怒り条件においてMEP振幅値の増大が最も大きく見られた。
【考察・結論】橈側手根伸筋と比べて、尺側手根屈筋においてCSEの増大が顕著に見られ、情動によって影響を受けやすい筋が存在する可能性が示された。すなわち筋特異性の仮説を支持する結果となった。また、CSEの変調は情動の種類によって異なることが示された。今後は被検者の数を増やし仮説検証を進める予定である。