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[学校保健体育-B-22] 多様化する保健体育科教員志望学生に関する事例研究(教)
なぜ教師に「なる」「ならない」の選択をするのか
近年、教員免許状取得者数や教員採用試験受験者数は減少し、教師のなり手不足が問題視されている。特に、教員志望学生の減少は少子化や学校現場のブラックなイメージ、就職状況の好転などが要因として挙げられる。教員養成を担う大学等の役割は、その減少に歯止めをかけるだけでなく、教師の質を高める上でも今後より重要視されるだろう。保健体育科に着目すると、2020年度に大学等で中学校教員の一種免許状を取得した学生は7,822名と全教科の中で最も多い(2番目は社会科の5,494名:総合教育政策局教育人材政策課,2022)。また、教員採用者数においては、主要5教科と同程度であるが倍率は最も高い。つまり、免許状を取得して教師に「なる」ー「なれない」、そして「ならない」人も多くいるのである。では、その進路決定の理由や経緯は如何なるものか。情報化や多様化が進む現代において、その内実は個々の学生で異なるだろう。より良い教師のなり手を増やす方策を考える上で、まずは教員免許状取得を目指す学生が有する多様な考えに着目する必要があろう。そこで本研究の目的は、保健体育科教職課程を有する複数の大学で、保健体育教師に「なる」「ならない」ことを決めている4年生(8名程度)を対象に、その選択の理由や経緯について、インタビュー調査を通して実態を深く探究することである。インタビューガイドは、予備調査を踏まえて作成した。インタビュー記録はテキストデータ化し、NVivoを用いて分析を行う。予備調査の結果から、保健体育教師に「なる」学生は高校時代の経験から生じた使命感や運動への愛好などが理由であり、教職課程の学びを通してより強固となっていた。一方、「ならない」学生は、採用試験の難易度の高さなどが「なれない」理由の一つであったが、教職課程の学びそのものの価値を感じ履修を続けた。当日は、本調査の結果について詳細に発表する。